協働ロボットがピッキング作業を行うデモ装置の写真

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自動化は内製と外注どちらが得か比較|コストと技術力で見えてきた現実

導入判断

社内でやれば安く済むのでは…自動化の内製と外注をコスト・技術力・リスクで比較した現実的な結論

自動化の内製と外注は、「どちらが安いか」で比べると判断を誤ります。

比べるべきは、コスト・技術力・リスクの3軸です。

結論から言うと、設計と立ち上げは外注、日常の保全と改善は内製という分担が、数人〜数十人規模の工場では最も現実的です。

すべて内製で成功するのは、専任の技術者を確保できる一部の会社に限られます。

きっかけは、社内会議での若手の一言だったりします。

「ロボットくらい、自分たちで組めますよ」

「外注したら倍の値段を取られるんじゃないか」

「でも、途中で頓挫したら誰が責任を持つんだ」

経営者としては、期待と不安が半々のはずです。

この記事では、内製と外注をコスト・技術力・リスクの3つで具体的に比較し、実際に内製へ挑戦した工場で何が起きたのかも含めて、現実的な結論を整理します。

【この記事のポイント】

  • 内製の「安さ」は人件費を計上しないことで生まれる見かけの安さであることが多い
  • 壁になるのは組立よりも、構想設計・安全設計・トラブル対応。ここに経験の差が出る
  • 全部内製か丸投げかの二択ではなく、役割分担のハイブリッドが現実解

この記事の結論

  • 一言で言うと、内製か外注かは「金額」ではなく「社内に設計経験者がいるか」で決まる。
  • 最も重要なのは、失敗したときに誰が立て直せるかというリスクの視点。
  • 現実解は、構想・設計・立ち上げを外注し、日常保全・小改造を内製する分担。
  • 内製に挑むなら、生産に影響しない小さな装置から。主力工程でいきなり試さない。

内製と外注をコスト・技術力・リスクの3軸で比較する

コスト比較:内製は「安く見えるだけ」のことが多い

内製の見積書には、たいてい社員の人件費が載っていません。

ロボット本体300〜500万円と部材費だけを見て、「外注の半額でできる」と考えてしまう。

ですが、実際には設計と立ち上げに社員が数カ月張り付きます。

仮に月給40万円の技術者が6カ月かかれば、それだけで240万円。

しかもその間、その人の本来の業務は止まっています。

さらに初めての内製では、部品の選定ミスや作り直しがほぼ確実に発生します。

一般的に、初回の内製は想定の1.5〜2倍の期間がかかると言われるのは、この手戻りが理由です。

外注費との差額は、思っているより小さい。

むしろ逆転することも珍しくありません。

もちろん、2台目、3台目と経験が積み上がれば内製の経済性は改善します。

つまりコストの答えは「何台作る計画か」によって変わるのです。

技術力比較:組立はできても、構想設計と安全でつまずく

技術面の壁は、ロボットを動かすことではありません。

今のロボットはティーチングも扱いやすくなっており、動かすだけなら社内でも到達できます。

壁は3つ。

1つ目は構想設計です。

どの工程をどう区切り、ワークをどう位置決めし、異常時にどう復帰するか。

この「装置全体の成立性」を描く力は、場数でしか身につきません。

2つ目は安全設計です。

リスクアセスメント、安全柵や安全機器の選定、非常停止の回路構成。

ここを我流でやるのは、コスト以前の問題として危険です。

3つ目は、量産開始後のトラブル対応。

チョコ停の原因を切り分け、対策を打つ経験値です。

日本ロボット工業会の統計を見てもロボット導入は拡大が続いていますが、その裏でシステム構築を担うSIerという専門職が存在するのは、この「ロボット単体と装置全体の間」にある技術の層が厚いからです。

リスク比較:担当者の退職で「誰も触れない設備」になる怖さ

内製の最大リスクは、属人化です。

社内で作った設備の仕様は、往々にして担当者の頭の中にしかありません。

図面が整備されず、プログラムのバックアップもない。

その担当者が退職した瞬間、誰も触れないブラックボックスが現場に残ります。

外注の場合は、契約上の成果物として図面・仕様書・取扱説明が残り、改造や修理の窓口も残ります。

一方で外注にもリスクはあります。

業者選びを誤れば、現場に合わない設備が納品されることもある。

要件を丸投げすれば、暗黙知が伝わらず費用が膨らみます。

正直なところ、外注は「発注側の関与をサボらないこと」が前提の選択肢です。

リスクゼロの道はどちらにもなく、どちらのリスクなら管理できるかで選ぶことになります。

なお、内製した設備は安全面の責任もすべて自社に残ります。

万一の労働災害を考えると、安全設計の経験がないまま内製へ進むのは、費用の損得を超えた問題になり得ます。

リスク比較では、この責任の所在まで含めて天秤にかけてください。

実際の現場で見た結末と、後悔しないための判断基準

内製に挑んで1年止まった工場の話

愛知県内の板金加工業での実例です。

機械いじりの得意な若手が中心になり、搬送工程の自動化を内製で始めました。

ロボットは動いた。

ところが、ワークの位置ズレへの対処と安全柵まわりの設計で行き詰まり、装置は工場の隅で1年近く止まったままになりました。

夜、その若手が一人で装置の前に残って調整している姿を、社長は何度も見ていたそうです。

私たちに相談が来たのはその段階でした。

最初は「途中まで作ったものを外に見せるのは恥ずかしい」とためらっておられましたが、拝見すると骨格の考え方は悪くない。

位置決め治具と安全設計をこちらで作り直し、既存の機構は活かして立ち上げました。

よくあるのが、この「内製の挑戦を無駄にしない合流点」を知らずに、ゼロからやり直してしまうケースです。

挑戦した経験は、決して損にはなりません。

ただ、どこで専門家を入れるかの線引きだけは、早めに決めておくべきでした。

分担で成功した工場は、何を内製に残したか

対照的なのが、岐阜県の自動車部品を手がける工場の例です。

ここは溶接工程の自動化を外注で進めながら、最初から「日常保全と段取り替えは社内で完結させる」と決めていました。

打ち合わせの場に保全担当を必ず同席させ、立ち上げ調整も一緒に作業する。

「教えてもらいながら覚えるので、遠慮なく使い倒します」と言われたのをよく覚えています。

納入から数年、消耗品の交換や小さな改造は社内で回り、私たちに連絡が来るのは大きな改造のときだけです。

外注費を払いながら、技術を社内に移転していく。

遠回りに見えて、これが一番堅実な内製化の道です。

中小企業白書でも、外部連携を活用しながら自社の技術基盤を高める中小企業ほど生産性向上に成功しやすいと報告されています。

どの範囲を任せて、どの範囲を吸収するか。

その設計図を描くところからが自動化だと、私たちは考えています。

分担の線引きに迷ったら、その相談からで構いません。

現場と社内の体制を見て、無理のない分担案を一緒に考えます。

内製が向く会社・外注が向く会社の判断基準

公平な判断基準を5つ挙げます。

第一に、機械設計か電気設計の実務経験者が社内にいるか。

いなければ、最初の1台の内製はお勧めしません。

第二に、担当者が数カ月、設備づくりに専念できる体制か。

兼任での内製は、ほぼ確実に長期化します。

第三に、同種の装置を今後も複数台作る計画があるか。

1台きりなら、経験への投資は回収できません。

第四に、失敗しても生産に影響しない工程か。

主力工程での実験は避けるべきです。

第五に、安全設計を担保する手段があるか。

この5つのうち3つ以上を満たすなら内製に挑む価値があり、満たさないなら外注か分担型が合理的です。

ケースによりますが、「治具だけ内製、装置は外注」という中間解も十分あり得ます。

よくある質問

Q1. 内製と外注、総コストの差はどれくらいですか?

A1. 社員人件費と手戻りを含めると、初回の内製は外注の7〜9割程度に収まれば良いほうです。

場合によっては外注を上回ります。

複数台展開する場合のみ、内製の経済性が明確になります。

Q2. 外注する場合の費用相場を教えてください。

A2. 協働ロボットのシステムで本体300〜500万円程度、全体でその1.5〜3倍が目安です。

特注自動機は数百万円〜と内容次第です。

工程分析後の見積で幅は絞り込めます。

Q3. 内製でロボットのプログラムだけ社内で組むのはありですか?

A3. ありです。

装置の設計・製作を外注し、ティーチングを社内で覚える分担は現実的です。

段取り替えを社内で回せると、運用コストが大きく下がります。

Q4. 外注先に丸投げするとなぜ失敗するのですか?

A4. 現場の暗黙知や例外条件が伝わらず、要件の後出しで費用と納期が膨らむためです。

打ち合わせに現場責任者を同席させるのが対策です。

発注側の関与が成否の半分を握ります。

Q5. 社内に技術者を育てたい場合、外注は遠回りになりませんか?

A5. むしろ近道になり得ます。

設計打ち合わせと立ち上げに社員を同席させれば、実案件で学べます。

保全と小改造から内製化する段階移行が定石です。

Q6. 中古ロボットを買って内製すればさらに安くなりますか?

A6. 本体費は下がりますが、保証・部品供給・仕様確認の負担が増えます。

経験のない段階での中古活用はリスクが利益を上回りがちです。

初号機は新品または業者経由が無難です。

Q7. 内製で作りかけた装置を業者に引き継いでもらえますか?

A7. 可能な場合が多いです。

骨格を活かして安全設計や制御を補強する形なら、ゼロからより費用を抑えられます。

恥ずかしがらず途中段階で相談するほど傷は浅く済みます。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 内製の安さは人件費と手戻りを含めると縮む。コストは「何台作るか」で答えが変わる
  • 壁は構想設計・安全設計・トラブル対応。属人化リスクまで含めて比較する
  • 現実解は分担型。設計・立ち上げは外部、保全・段取り替えは社内で吸収していく

内製か外注かは、会社の技術戦略そのものです。

だからこそ、金額の比較だけで決めてしまうのはもったいない。

自社でどこまでやるべきか、線引きの相談からで構いません。

現場の体制を見たうえで、無理のない分担案を石川工機と一緒に整理しませんか。

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