ロボット導入会社を比較する観点7つ|実績数より大事なものがあった
どの会社も「実績多数」で比べようがない…ロボット導入会社を構想力・対応範囲・保守体制で比較する観点
ロボット導入会社を「実績〇〇件」の数字で選ぶのは危険です。
件数は、自社の工程と合うかどうかを何も保証しないからです。
比較すべき観点は7つ。
重みを置くべきは「構想力」「対応範囲」「保守体制」の3つで、実績はその中の1要素にすぎません。
検索結果に並ぶ「導入実績多数」「豊富な実績」の文字。
タブを開くほど、どの会社も同じに見えてくる。
「件数が多いところが上手いんだろう、たぶん」
「でも、その実績はうちみたいな工程なのか?」
「聞いたところで、盛られたら分からない」
その疑問は正しい感覚です。
この記事では、生産設備の設計・製作を続けてきたロボットSIerの石川工機が、実績数の落とし穴と、導入会社を中身で比較する7つの観点を解説します。
どの会社の評価にも使える、公平な物差しとしてまとめました。
【この記事のポイント】
- 実績数の落とし穴は「工程の不一致」「規模の不一致」「古さ」の3つ
- 比較の観点は7つ。構想力・質問の中身・内製範囲・検証姿勢・保守体制・改善提案・会社の継続性
- 「導入後も付き合える会社か」を測る観点ほど、比較段階では見落とされやすい
この記事の結論
- 一言で言うと、件数ではなく「自社の工程を任せられる中身」を7観点で確かめる
- 最も重要なのは、課題を工程の設計に翻訳する構想力があるかどうか
- 実績は件数でなく、類似工程か・取引が続いているか・実物を確認できるかで見る
- 7観点を質問リストにして各社に同じ順でぶつければ、比較は半日で終わる
実績数の落とし穴と、観点1〜3|会社の頭脳を測る
「実績多数」に潜む3つの不一致
実績数をあてにできない理由は3つあります。
1つ目は、工程の不一致。
溶接システムを100件納めた会社が、組立や検査の自動化も同じ精度でできるとは限りません。
ロボット導入は工程ごとの専門性が強く、件数の合計は得意分野を隠してしまいます。
2つ目は、規模の不一致。
大手工場の大型ライン実績と、数人〜数十人規模の工場の1工程自動化では、設計の勘所が違います。
3つ目は、古さです。
10年前の実績と現在の体制は別物ですし、逆に直近の華やかな実績だけで歴史の浅い会社もあります。
日本ロボット工業会の統計でも産業用ロボットの導入は広がり続けており、実績を掲げる会社は今後も増えます。
数字の大小で選ぶ時代は、もう終わっていると考えたほうが安全です。
観点1〜2:構想力と、ヒアリングの質問の中身
1つ目の観点は構想力。
「人手が足りない」という課題を、「どの工程を、どんな設備で、どの順番で」という設計に翻訳できる力です。
見分けるには、課題だけを伝えて提案の枠組みを聞いてみてください。
機種の話から入る会社と、工程の分析から入る会社に分かれます。
2つ目の観点は、ヒアリングでの質問の中身です。
実は、こちらが質問される内容にこそ実力が出ます。
品番数、ワークの供給状態、段取り替えの頻度、不良の種類。
現場を知る会社ほど、質問が具体的で数が多い。
逆に、こちらの話を聞くだけで質問が出ない打ち合わせは、提案の土台が薄くなりがちです。
「質問の多い会社は面倒」ではなく「質問の多い会社は考えている」。
この読み替えだけで、業者の見え方は変わります。
実例:「実績最多」の候補と迷った缶・容器関連メーカー
缶・容器関連の製品を扱うメーカーで、箱詰め後のパレタイジング自動化を検討していた方の話です。
候補は3社。
うち1社はサイトに掲げる実績件数が飛び抜けて多く、担当の方は当初そこにほぼ決めていました。
稟議書の下書きまで作っていたそうです。
ただ、最終確認のつもりで行った各社ヒアリングで、迷いが生まれました。
質問の中身が、会社によってまったく違ったのです。
ある会社は設置スペースと電源の確認が中心。
別の会社は、パレットの積み付けパターンの品種数、袋のたわみ、繁忙期の増産幅まで聞いてきた。
「聞かれて初めて、自分たちも把握していない条件があると気づいた」そうです。
とはいえ、書き上げた稟議書を捨てて選び直すのは勇気が要ります。
「件数最多」という分かりやすい理由を手放すのだから、半信半疑にもなります。
迷った末、その方は3社に同じ7項目の質問状を送り、回答を横に並べました。
最終的に選んだのは、件数最多の会社ではなく、質問が最も具体的だった会社です。
発注後も、ヒアリングで挙がった条件のすり合わせがそのまま仕様書になり、認識ズレはほぼなかったと聞いています。
変わったことといえば、立ち上げ初日の夕方、担当の方が定時で工場を出られたこと。
それくらい静かな立ち上がりだったそうです。
ちなみに当社のパレタイジングは、テックマンロボットを使ったシステムで3件の実績があります。
件数としては多くありません。
だからこそ、工程が近いかどうかを動画で確認してから判断してほしいのです。
実績の中身の確認も含めて、石川工機への相談は比較の途中段階でも歓迎です。
観点4〜7|導入後まで付き合える会社かを測る
観点4〜5:検証の姿勢と、保守体制
4つ目の観点は、検証の姿勢です。
提案の数字が、実ワークのテストや現場実測に基づくか、カタログ値の組み合わせか。
「その数字はどう確かめましたか」の一問で確認できます。
5つ目は保守体制。
停止時に何時間で対応できるか、電話やリモートの一次対応があるか、消耗部品と交換周期を即答できるか。
拠点から自社工場までの距離も、復旧スピードに直結する現実的な要素です。
自動化設備の価値は、導入した日ではなく、その後どれだけ安定して動き続けるかで決まります。
構造の妥当性や保守性を重視して設計しているかどうかは、保守の質問への答えの解像度で推し量れます。
よくあるのが、提案と見積りの比較に力を使い切り、保守の確認が契約直前の駆け足になるケース。
設備との付き合いは10年単位、その9割は導入後の時間です。
比較の配点でいえば、保守体制には全体の3割を割り当てていいと考えています。
観点6〜7:納入後の改善提案と、会社の継続性
6つ目の観点は、納入後の改善提案の実例があるかです。
「納めた設備を、その後どう改善しましたか」と聞いてみてください。
タクト短縮の改造、品種追加への対応、チョコ停対策。
具体例が出てくる会社は、納入後も現場に通っている会社です。
7つ目は、会社の継続性。
設備が現役でいる10年後にも、その会社が部品と技術者を出せるか。
業歴、技術者の年齢構成、事業の柱を確認します。
当社の場合、創業から52年、石川工機の設立から37年になりますが、これは自慢のためではなく「各社に業歴と体制を聞いてください」という確認項目の例として挙げるものです。
中小企業白書でも中小製造業の人手不足は長期の構造課題とされており、設備は一度入れて終わりではなく、直し、広げながら使い続けるものになっています。
その伴走相手を選ぶ視点が、観点6と7です。
件数より中身で選んだ人が確認していたポイント
ばね・線材加工の工場で、搬送工程の自動化先を比較していた方は、最後に各社へ同じ依頼をしました。
「過去に納めた設備を、納入後に改善した事例を1つ教えてほしい」。
華やかな導入事例ではなく、地味な改善の話をあえて求めたわけです。
回答は割れました。
即座に「チョコ停の原因だった供給部を作り替えた話」を出した会社もあれば、改善事例の持ち合わせがない会社もあった。
その方が発注前に確認していたのは、次の3点です。
改善事例の具体性。
保守と改造の費用の考え方が文書で出るか。
質問への回答が期日内に返ってくるか。
「実績の件数は、最後まで比較項目に入れなかった」そうです。
稼働から1年、品種追加の改造も同じ会社に頼み、打ち合わせは1回で済んだと伺いました。
比べるべきは過去の数字ではなく、これからの付き合い方。
この視点の切り替えが、後悔しない選び方の芯になります。
よくある質問
Q1. 実績は確認しなくていいのですか?
A1. 確認は必要ですが、件数ではなく中身を見ます。
自社と近い工程か、取引が続いているか、写真や見学で実物を確認できるかの3点です。
Q2. 7つの観点を全部確認する時間がありません。優先順位は?
A2. 構想力・保守体制・検証の姿勢の3つを優先してください。
この3つは導入の成否と導入後の10年に直結します。
Q3. 何社くらいを比較すればいいですか?
A3. 2〜3社が目安です。
7観点を質問リスト化して同じ順でぶつければ、1社あたり1〜2時間の面談で比較できます。
Q4. 会社の規模は大きいほうが安心ですか?
A4. 一概には言えません。
複数工場への展開なら大手が有利ですが、1〜2工程の造り込みは小回りの利く会社が向くこともあります。
規模より工程との相性です。
Q5. 費用はどれくらい見ておくべきですか?
A5. システム全体で数百万円〜が目安です。
協働ロボットの場合、本体300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が一般的な相場です。
Q6. 「できます」と即答する会社は頼もしいのでは?
A6. 検証前の即答はむしろ注意信号です。
現場と実ワークを確認してから成立条件を答える会社のほうが、導入後のズレが少なくなります。
Q7. 導入後の改善提案は本当に必要ですか?
A7. 必要です。
生産量や品種は必ず変わり、設備は改造しながら使うものです。
納入後の改善事例を持つ会社を選ぶと長く付き合えます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 実績数は工程・規模・時期の不一致を隠す。件数で選ばず7観点で中身を測る
- 構想力とヒアリングの質問の中身に、その会社の頭脳が表れる
- 保守体制・改善提案・継続性という「導入後の観点」に配点の半分を割く
まずは候補各社に「納入後に改善した事例を1つ」と聞くところから始めてください。
7観点の質問リストを作る段階からでも、お手伝いできます。
実績の中身を確かめる側の質問も歓迎しますので、比較候補の1社として石川工機へお問い合わせください。
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