自動化を任せるSIerの選び方|提案の質でわかる実力差の見抜き方
SIerという言葉は知ったが選び方が分からない…構想提案の質から実力を見抜くための具体的なチェック法
SIerの実力差は、会社案内ではなく構想提案書に表れます。
チェックすべき箇所は5つ。
「現状把握の記述」「前提条件の明記」「数字の根拠」「できないことの記載」「代替案の有無」です。
この5か所を読み比べれば、専門知識がなくても各社の実力差は見抜けます。
提案書とは、その会社が自社の現場をどれだけ深く見たかの記録だからです。
届いた提案書のPDFを、通勤電車で何度もスクロールする。
「立派な資料だが、正しいのか判断できない」
「専門用語だらけで、比べようがない」
「読めないまま返事の期限だけが近づいてくる」
この記事では、構想提案型のロボットSIerである石川工機が、提案書の5つのチェック箇所と、説明の場で実力を見抜く質問を解説します。
提案を受ける前の準備から読み方まで、どの会社の提案にも使える公平な物差しです。
【この記事のポイント】
- 提案書のチェック箇所は5つ。自社の現場の固有情報がどれだけ書かれているかが核心
- 「できないこと」「前提が崩れる条件」を書いてある提案ほど信頼できる
- 各社に同じ情報を渡すことが、提案の質を公平に比べる大前提になる
この記事の結論
- 一言で言うと、提案書は「内容の良し悪し」より「自社の現場をどれだけ見たか」で読む
- 最も重要なのは、どの現場にも当てはまる記述と、自社にしか当てはまらない記述を区別すること
- タクトや能力の数字に実測・テストの根拠があるかを必ず確認する
- リスクや不成立条件を書かない提案は、契約後にその話が出てくる
提案書の5つのチェック箇所|知識がなくても差は見える
チェック1〜2:現状把握の記述と、前提条件の明記
1つ目のチェックは、現状把握の記述です。
提案書の冒頭に、自社の工程の固有情報が書かれているかを見てください。
ワークの品番数、実測したサイクルタイム、作業者の動きの観察結果。
こうした記述があるなら、その会社は現場を見て考えています。
逆に、どの工場にも当てはまる一般論だけなら、ひな形に機種を当てはめた提案の可能性があります。
見分け方は簡単で、「この提案書は、よその工場に出しても通用するか」と自問すること。
通用してしまうなら、それは自社への提案ではありません。
2つ目は、前提条件の明記です。
「ワークの供給姿勢が揃っていること」「電源・エアの容量」など、成立の前提が書かれているか。
前提を書くのは、崩れたときに責任範囲が曖昧になるのを防ぐためで、書いてある提案ほど誠実です。
チェック3〜5:数字の根拠・できないこと・代替案
3つ目は、数字の根拠。
「タクト15秒で処理可能」とあれば、その15秒がどこから来たのかを見ます。
実ワークでのテスト、動作シミュレーション、類似実績からの推定。
根拠の種類が書かれていれば読み比べができ、書かれていなければ質問リストに回します。
4つ目は、できないことの記載です。
「この品番は形状上、今回の構成では対応外」といった線引きがある提案は、成立条件を検証した証拠。
経済産業省のものづくり白書でも省人化投資の動きは活発とされ、提案の場数は各社とも増えていますが、できないことを先に言うには検証と覚悟が要ります。
5つ目は、代替案の有無。
本命案のほかに、段階導入案や設備を小さくする工程変更案が添えられているか。
選択肢を並べられるのは、引き出しの多さの表れです。
5か所すべてが完璧な提案は、実はそう多くありません。
だからこそ、差が出ます。
なお、費用の目安としてはシステム全体で数百万円〜が一般的で、協働ロボットなら本体300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が相場です。
この規模の投資判断を、提案書を読まずに下すのはもったいない。
読む技術は、その日から使える防具になります。
実例:2通の提案書を並べた農機具部品メーカー
農機具部品を作る工場の方が、2社の提案書を持って相談に来られたことがあります。
組立工程の自動化で、どちらの提案書も体裁は立派。
その方は2週間、決められずにいました。
夜、自宅で2通を並べてはため息をつき、翌朝また会社で開く。
その繰り返しだったそうです。
5か所のチェックを一緒にやってみると、違いは明確でした。
1通は現場実測の数字が随所にあり、対応できない品番の一覧まで付いている。
もう1通は構成機器の説明が中心で、前提条件の記載が薄い。
念のため書くと、後者が悪い会社という話ではありません。
現場確認の時間が取れなかったなど、事情はさまざまです。
ただ「どちらが自社の現場を見て書いたか」は、はっきりしていました。
その方は前者に追加の質問を2つ投げ、回答を確認して発注。
「読み方さえ分かれば、自分で判断できたんですね」という言葉が印象的でした。
設備は予定通り立ち上がり、いまは2工程目の提案書を「今度は自分ひとりで」読み込んでいるそうです。
提案書が読めるようになると、業者との関係は「売り手と買い手」から「一緒に工程を作る相手」に変わっていきます。
手元の提案書をどう読めばいいか迷ったら、第三者の目で見てもらうのも手です。
セカンドオピニオン的な相談も受けていますので、石川工機の問い合わせ窓口から気軽にどうぞ。
提案の質を引き出す準備と、説明の場での見抜き方
公平に比べる大前提:各社に同じ情報を渡す
提案の質を比べるには、比べられる条件を自分で作る必要があります。
具体的には、各社に同じ情報を渡すことです。
対象工程の動画、ワークの寸法と重量、品番数、生産量、設置スペース。
この5点をそろえて渡せば、提案の前提がそろい、差は純粋に各社の実力差になります。
よくあるのが、A社には口頭で、B社には図面付きでと、渡す情報がバラバラになるケース。
これでは提案の濃さの差が、情報量の差なのか実力の差なのか分からなくなります。
現場確認の機会も、全社に同じように提供してください。
ケースによりますが、現場を見た会社と見ていない会社の提案は、前提の精度が一段違ってきます。
説明の場でぶつける5つの質問
提案書を受け取ったら、説明の場で次の5つを質問してください。
1つ、なぜこの機種・この構成なのか。
2つ、前提が崩れたら(品番が増えたら、タクトが厳しくなったら)どうなるか。
3つ、数字の根拠は実測かテストか推定か。
4つ、納入後の変更やティーチング追加の費用の考え方。
5つ、設備を入れずに工程側の改善で対応できる余地はないか。
特に5つ目は効きます。
設備を売る立場からすると答えにくい質問ですが、「この部分は治具の改善で足ります」と答えられる会社は、顧客の投資対効果で考えている会社です。
回答は議事録に残し、後の契約時のすり合わせに使ってください。
口頭の「大丈夫です」は、文字にした瞬間に精度が上がります。
その場で答えられない質問があっても減点とは限りません。
持ち帰って数字で答える会社と、その場で曖昧に流す会社。
信頼できるのは前者です。
提案の質で選んだ人が、最終的に確認していたこと
住宅設備部品の会社での話です。
検査工程の自動化相談で、当社は提案書に「この工程のうち1つは、現時点では自動化しないほうがいい」と書きました。
不良の発生率と品種の変動を考えると、投資回収が読めなかったからです。
提案の場は、正直少し気まずい空気になりました。
「できます」と並べる提案のほうが、聞いていて気持ちがいいのは確かです。
最初は物足りなそうだった担当の方が、後日「あの1行が決め手だった」と教えてくれました。
発注前にその方が確認していたのは、次の3点です。
できないと書いた理由の数字的な裏付け。
将来、条件が変われば再検討できるかどうか。
できると書いた範囲の検証方法。
稼働開始から時間が経ち、見送った工程は月1回の改善会議の議題として残り続けているそうです。
提案書の「できない」の1行は、導入後の「こんなはずでは」を1つ減らします。
選ばれた理由は、結局そこにありました。
よくある質問
Q1. SIerとはそもそも何をする会社ですか?
A1. 自動化の構想設計からロボット・設備の製作、据付、立ち上げまでを担う会社です。
機器を売るだけでなく、工程全体を設計するのが役割です。
Q2. 提案は無料で受けられますか?
A2. 概略提案・概算見積りまでは無料の会社が多いです。
詳細設計を伴う段階から有償になる場合があるため、境目を最初に確認してください。
Q3. 提案書のどこを最初に見ればいいですか?
A3. 冒頭の現状把握の記述です。
自社の現場の固有情報(実測値・品番・観察結果)があるかどうかで、提案の土台の深さが分かります。
Q4. 何社から提案を受けるべきですか?
A4. 2〜3社が目安です。
同じ情報・同じ現場確認の機会を全社に渡すことが、公平に比べる条件になります。
Q5. 専門用語が分からないまま質問してもいいですか?
A5. 問題ありません。
「その数字の根拠は何ですか」という一言だけでも、提案の質は十分に確かめられます。
Q6. 金額の安い提案を選んではいけませんか?
A6. 前提条件がそろっているなら金額比較は有効です。
前提の記載が薄い安さは、後の追加費用に化けることがあるため要注意です。
Q7. 提案内容が正しいか、第三者に見てもらえますか?
A7. 可能です。
別のSIerや公的な支援機関にセカンドオピニオンを求める方法があります。
図面や提案書を持ち込める相談先を選んでください。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 提案書は「現状把握・前提条件・数字の根拠・できないこと・代替案」の5か所で読む
- 各社に同じ情報と同じ現場確認の機会を渡し、差が実力差になる状態を作る
- 「できない」を書ける会社は検証している会社。説明の場では根拠を問う質問を5つぶつける
まずは手元の提案書を、5か所のチェックで読み直すところから始めてください。
これから提案を受ける段階なら、渡す情報の整理からのスタートで大丈夫です。
工程の動画と写真をもとに、成立条件から一緒に整理しますので、提案を比べる候補の1社として石川工機にご相談ください。
生産自動化の全体像を知りたい方へ
生産自動化は、単に機械を導入すれば成功するものではありません。人手不足、生産性、品質、コスト、現場負担を整理し、自社に合う判断をすることが重要です。 👉 生産自動化の構造整理|人手不足時代に判断を誤らないための全体像と背景生産自動化を目的別に詳しく知る
👉 人手不足を自動化で解決する方法 自動化で減らせる作業と導入効果を解説します。 👉 初めての生産自動化は何から始める? 導入前に整理すべき課題と進め方を紹介します。 👉 産業用ロボットの種類と選び方 作業内容に合う設備を比較する基準を解説します。 👉 自動化業者の選び方と失敗しない基準 技術力や対応範囲を見極めるポイントを整理します。 👉 狭い工場でも自動化できる? スペースの制約から導入可否を判断する方法を解説します。 🔧 設備・治具でお困りではありませんか? ・既存設備の改善をしたい ・精度や品質を安定させたい ・一から設計・製作を任せたい そんな課題に、株式会社石川工機が対応します。 設計・製缶・加工・組付け・調整まで一貫対応だから、 ムダなくスピーディーに現場へ導入可能。 まずはご相談だけでもOKです。 📞 TEL:052-896-5373 👉 お問い合わせはこちら https://ishikawakouki.com/contact/ 👉 セミナー予約はこちら https://ishikawakouki.com/form/このテーマについては、判断の切り口ごとに考え方が分かれます。
以下では、生産自動化を考えるうえで代表的な視点を整理しています。
👉人手不足に悩む経営者が、自動化で何が解決できるか判断したい
👉初めて自動化を検討する企業が、何から始めるべきか判断したい
👉設備選定に悩む担当者が、ロボットの種類を比較して判断したい
👉業者選定で失敗したくない企業が、選定基準を知りたい
👉工場スペースに制約がある企業が、導入可否を判断したい