協働ロボットがピッキング作業を行うデモ装置の写真

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自動化はどこから始めるべきか?最初の工程の選び方で成否が決まる理由

導入判断

全部やりたいが予算は限られている…最初に自動化すべき工程を見極める優先順位のつけ方

最初に自動化すべき工程は、「効果が最大の工程」ではなく「成立確度が高く、効果を数字で測れる工程」です。

判断軸は4つ。

①現場の困り度、②技術的な成立性、③作業の定型度、④効果の測りやすさ。

この4軸で採点すれば、優先順位は明確になります。

会議室のホワイトボードに課題工程を書き出したものの、「どれも捨てがたい」で議論が止まる。

自動化の検討では、必ずと言っていいほどこの場面が訪れます。

「溶接も検査も積み付けも、全部人が足りない」

「予算は1台分。外したら次はない」

「声の大きい部署の工程を選んでいいのか」

この記事では、最初の工程選びが成否を分ける理由と、4つの判断軸、そして現場確認で結論が変わった実例を交えて、優先順位のつけ方を解説します。

【この記事のポイント】

  • 1台目の役割は成果だけではない。「社内の信頼獲得」という二つ目の任務がある
  • 優先順位は「困り度×成立性×定型度×測りやすさ」の4軸で採点して決める
  • やりたい工程と、始めるべき工程は違う。現場確認で結論が変わることも多い

この記事の結論

  • 一言で言うと、最初の工程は「勝てる場所」から選ぶのが正解
  • 最も重要なのは、技術的な成立確度。効果が大きくても成立しなければゼロになる
  • パレタイジング・搬送・定型検査は、初めての自動化で選ばれやすい代表工程
  • 迷ったら自己判断で決めず、現場確認と工程分析を業者に依頼して裏付けを取る

最初の工程選びで成否が決まる理由

1台目には「成果」と「社内の信頼」という2つの任務がある

1台目の設備が背負っているのは、投資回収だけではありません。

「自動化はうちでも使える」という社内の空気を作る任務があります。

1台目が順調に動けば、現場は協力的になり、2台目以降の稟議は通りやすくなります。

逆に1台目でつまずくと、「やっぱりうちには合わない」という空気が数年単位で残ります。

「あの設備、動いてないらしい」という噂が現場を一周するのに、1日かかりません。

一方で、毎日淡々と動いている設備は、静かに信頼を積み上げていきます。

実は、この心理的な影響のほうが、投資額の損失より長く尾を引きます。

経済産業省のものづくり白書でも、省力化投資の定着には現場の受容が重要であることが指摘されています。

だからこそ1台目は、挑戦的な工程ではなく、確実に動く工程から始めるべきなのです。

優先順位を決める4つの軸

候補工程を次の4軸で、それぞれ3点満点で採点してください。

①困り度:その工程が原因で残業・不良・退職リスクが発生しているか。

②技術的成立性:ワークの形状・重量・ばらつきが機械で扱える範囲か。

③定型度:作業手順が毎回同じで、人の判断が少ないか。

④効果の測りやすさ:時間・数量・不良率など、導入前後を数字で比較できるか。

合計点の高い工程が第一候補です。

注意すべきは②の重みです。

困り度が満点でも、成立性が低ければ効果はゼロどころかマイナスになります。

迷ったら「成立性の高いほう」を選ぶ。

これが1台目の鉄則です。

なお、採点は経営者1人で行わず、現場責任者と一緒に行ってください。

現場が採点に参加した工程は、導入後の協力の得られ方がまったく違います。

点数が同点なら、現場が「やってほしい」と言う工程を優先して構いません。

最初に選んではいけない工程の特徴

逆に、1台目で避けるべき工程には共通点があります。

段取り替えが頻繁な多品種工程、人の判断や微調整が随所に入る工程、要求精度がまだ言語化されていない工程です。

よくあるのが、「一番困っているから」という理由だけで最難関の工程を選んでしまうケース。

難しい工程ほど設計・調整に時間がかかり、立ち上げが長引くほど現場の期待は冷めていきます。

ケースによりますが、最難関工程は2台目以降、社内に運用経験が貯まってから挑むほうが結果的に早く実現します。

もう1つの注意は、「声の大きい部署」の要望に引きずられることです。

採点表を作る目的には、社内政治ではなく数字で決められる状態をつくることも含まれています。

「困っている順」ではなく「勝てる順」。

この発想の転換が、最初の工程選びの核心です。

現場ではこう選んだ——2つの実例

事例1:「組立を自動化したい」が、搬送から始めた金属加工業

「組立工程を自動化してほしい」というご依頼で現場に伺った愛知県内の金属加工業の例です。

現場確認と工程分析をしてみると、組立作業には細かな判断が多く、1台目としては難易度が高い構成でした。

一方で、工程間の重量物の運搬に1日延べ3時間近い工数が使われ、腰痛による離脱者も出ていた。

厚生労働省の統計でも、製造業の腰痛など身体負担による労働災害は継続的に報告されています。

「頼んだのは組立なんですけどね」と、最初は納得しきれないご様子でした。

それでも、組立と搬送それぞれの成立条件と概算を並べてお見せし、4軸の採点結果とともに、まず搬送・積み付けの自動化からご提案。

比較の材料が揃うと、判断は社内でも共有しやすくなります。

テックマンロボットを使ったパレタイジングシステム(当社実績3件)の構成で、立ち上げは計画通りに進みました。

数カ月後、「重い物を持たなくていいだけで、現場の空気が変わった」と伺いました。

組立の自動化は、その経験を土台に第2段階として検討が進んでいます。

事例2:外観検査から始めた樹脂部品メーカー

別の現場では、候補が「組付け」「検査」「箱詰め」の3工程ありました。

決め手になったのは、効果の測りやすさです。

検査工程は目視の見逃しによる流出クレームが年数件発生しており、1件あたりの対応コストが数十万円規模と明確に数字になっていました。

画像処理を使った外観検査システム(画像処理は協力会社と連携し、設備設計・製作から立ち上げまで当社が一貫対応)を導入。

「機械の目がベテランに敵うのか」という現場の警戒感は、良品条件を数値で定義する過程で少しずつ解けていきました。

検査の自動化では「何を良品とするか」の定義に一番時間がかかりますが、ここを先に固めたことが立ち上げ期間の短縮につながりました。

導入後は判定基準が人によらず揃い、流出クレームの報告会議が開かれない月が続くようになりました。

効果が金額で示せたため、翌期の箱詰め工程の投資判断は驚くほどスムーズだったそうです。

最初の工程を決めるまでの進め方

石川工機では、最初の工程選びを次の流れで進めます。

①課題ヒアリング:困っている工程を全部挙げていただく(この時点で絞らない)。

②現場確認・工程分析:実際の作業を見て、各工程の成立条件を確認する。

③ロボット適性の検討:ワークの形状・重量・ばらつきから技術的成立性を評価する。

④概略仕様と見積もり提示:優先すべき1工程について費用と効果の見通しを示す。

費用の目安は、協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍です。

現場確認は半日程度で、その場で「これは難しい」「これは成立しやすい」という一次判断までお伝えできることが多いです。

業界歴52年の経験から言えるのは、机上の検討だけで工程を決めると高確率でズレるということです。

候補が絞りきれていない段階のご相談でまったく構いません。

石川工機の現場確認からスタートしてください。優先順位づけの材料を一緒に揃えます。

よくある質問

Q1. 効果が一番大きい工程から始めてはいけないのですか?

A1. 成立確度が同等なら効果の大きい工程で構いません。ただし効果最大の工程は難易度も高いことが多く、1台目は「確実に動く工程」を優先するのが安全です。

Q2. 現場確認では何を見てもらえるのですか?

A2. ワークの形状・重量・ばらつき、作業の手順と例外、設置スペース、電源・エア環境などです。カタログでは分からない成立条件をその場で確認します。

Q3. 費用はどれくらい見ておけばいいですか?

A3. 協働ロボット本体で300〜500万円程度、周辺装置込みのシステム全体でその1.5〜3倍が目安です。工程の難易度と周辺装置の量で変動します。

Q4. 複数工程を同時に自動化するのはだめですか?

A4. 初めての場合はおすすめしません。要件が掛け算で膨らみ、失敗時の影響も大きくなります。1工程目の運用経験を積んでからの拡張が堅実です。

Q5. 協働ロボットと産業ロボットのどちらを選ぶべきですか?

A5. 人と作業スペースを共有するなら協働ロボット、速度と可搬重量を優先するなら産業ロボットが基本です。工程の条件次第のため、現場確認での判断が確実です。

Q6. 工程選定にはどれくらいの期間がかかりますか?

A6. 現場確認から概略仕様の提示まで、おおむね数週間〜2カ月程度です。候補工程が多い場合や検証テストを挟む場合はもう少しかかります。

Q7. 現場から「自分の仕事が奪われる」と反発が出たら?

A7. 1台目に身体負担の大きい工程を選ぶと受け入れられやすいです。重量物搬送などは「楽になる自動化」として現場が味方になってくれます。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 最初の工程は「困っている順」ではなく「勝てる順」で選ぶ
  • 困り度・成立性・定型度・測りやすさの4軸採点で優先順位は明確になる
  • 机上で決めず、現場確認と工程分析で裏付けを取ってから投資する

予算1台分という制約は、悪いことではありません。

「どこから始めるか」を真剣に考えた会社ほど、2台目以降の展開が速いからです。

まずは候補工程を全部書き出し、4軸で採点してみてください。

その採点が正しいかどうかは、現場を見れば確認できます。

候補が3つ以上あって迷っている、という段階のご相談もよくいただきます。

優先順位づけの段階から、石川工機にご相談ください。図面や動画だけでも検討を始められます。

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