製造業の残業を減らす対策方法|工数を人から機械へ移すという新発想
残業ありきの生産計画から抜け出せない…製造業が自動化で工数を削減し残業を減らすための現実的な対策
残業を減らす最も確実な方法は、声かけや時間管理ではなく「工数を人から機械へ移す」ことです。
月末に勤怠集計を開くたび、残業時間の欄に並ぶ数字が先月とほとんど変わっていない。
ノー残業デーを作っても、翌日にしわ寄せが来るだけ。
その原因は従業員の頑張り不足ではなく、生産量に対して人の工数が構造的に足りていないことにあります。
「これ以上、現場に『早く帰れ』とは言えない」
「残業代がなければ生活が成り立たない社員もいる」
「かといって、このままでは若手が辞めていく」
この記事では、残業が減らない工場に共通する構造と、自動化で工数を機械に移して残業を減らした実例、最初に手を付けるべき工程の見つけ方を解説します。
【この記事のポイント】
- 残業の正体は「人に張り付いたままの工数」。時間管理では構造は変わらない
- 搬送・溶接・検査など毎日発生する定型工程を機械へ移すと、残業は構造的に減る
- 1工程で1日2〜3時間の工数が浮けば、月40〜60時間分の残業を吸収できる
この記事の結論
- 一言で言うと、残業削減の本質は「時間の管理」ではなく「工数の移し替え」
- 最も重要なのは、残業時間帯に実際に行われている作業を特定すること
- ノー残業デーより、夕方に集中する定型作業の自動化のほうが効果が長続きする
- 費用は協働ロボットシステムで数百万円〜。残業代だけでなく採用費・離職コストも含めて回収を考える
残業が減らない工場に共通する構造
残業の正体は「人に張り付いた工数」
残業は結果であって、原因ではありません。
原因は、1日にこなすべき仕事量と、人が処理できる工数のギャップです。
例えば1日の必要工数が50時間で、5人×8時間の40時間しか用意できなければ、差の10時間は毎日残業として現れます。
このギャップを埋める手段は3つしかありません。
人を増やすか、仕事を減らすか、工数の一部を機械に移すかです。
厚生労働省の統計でも、製造業の労働時間は全産業平均より長い傾向が続いており、採用で埋めようにも人が集まらない地域が増えています。
つまり多くの中小工場にとって、現実的に動かせる変数は「機械へ移す」だけになりつつあります。
やっかいなのは、残業が長く続いた工場ほど、残業前提で採算が組まれてしまうことです。
残業代を見込んで生活設計をする社員もいれば、残業込みの能力で納期を約束する営業もいる。
この状態から抜け出すには、工数の裏付けそのものを変えるしかありません。
「早く帰れ」の声かけが効かない理由
ある工場長は、夕方5時に「今日は早く帰れよ」と声をかけながら、自分は夜8時まで出荷前の積み込みをしていました。
帰したところで仕事は消えません。
翌朝、積み残した分が段取りを圧迫し、結局その日の夕方も同じ光景が繰り返される。
ノー残業デーが形骸化する工場では、ほぼ例外なくこの構造が動いています。
「先に上がってくれ」と言われた若手が、翌朝出社すると自分の工程の仕掛かりが山になっている。
これでは早帰りが罰のようなものです。
仕事の総量が同じまま時間だけを区切れば、どこかに必ず歪みが出ます。
無理な時短は、隠れ残業や品質低下という形で返ってくることさえあります。
中小企業白書でも、人手不足を現場の長時間労働で補っている中小製造業の実態が報告されています。
残業を減らしたいなら、時間ではなく仕事量そのものに手を入れる必要があります。
「工数を人から機械へ移す」という発想
発想を変えると、打ち手は明確になります。
毎日発生する定型作業を機械に任せれば、その時間分の工数が恒久的に人から外れます。
経済産業省のものづくり白書でも、人手不足への対応として省力化投資を進める中小製造業の動きが報告されています。
機械は疲れず、夕方になっても作業速度が落ちません。
人にしかできない段取り・判断・改善に工数を寄せ、繰り返し作業は設備に持たせる。
これが「工数の移し替え」です。
例えば、夕方2時間の積み付け作業を設備に移せば、その2時間は毎日、確実に戻ってきます。
改善活動のように積み重ねで少しずつ削るのではなく、構造ごと工数を外せるのがこの発想の強みです。
実は、残業の発生源は工場全体に散らばっているのではなく、特定の工程・特定の時間帯に集中していることがほとんどです。
だからこそ、全ラインを自動化しなくても残業は減らせます。
自動化で残業を減らした現場と、現実的な進め方
事例1:夕方のパレタイジング残業が消えた化成品メーカー
出荷前の袋詰め製品をパレットに積み付ける作業が、毎日夕方に集中していた現場がありました。
2人がかりで約2時間、ほぼ毎日の残業です。
20kg近い袋を持ち上げ続けるため、腰への負担も限界に近づいていました。
「ロボットが袋物をきれいに積めるんですか」と、担当者は最初かなり疑っていました。
テックマンロボットを使った協働ロボットのパレタイジングシステムを提案し、積み付けパターンと袋の掴み方を実機で検証してから導入。
石川工機ではこの種のパレタイジングシステムを3件手がけています。
導入にあたっては、既存の出荷スペースに収まるよう省スペースのレイアウトで設計しました。
協働ロボットは安全柵の面積を抑えられるため、狭い現場でも成立させやすいのが利点です。
袋の種類が変わる日も、積み付けパターンを呼び出すだけで切り替えられます。
稼働後、定時を過ぎた工場の照明が半分消えるようになりました。
劇的な話ではありませんが、「夕方の2時間」が毎日消えると、月に換算して約80時間分の工数が人から外れた計算になります。
事例2:溶接工程の詰まりが残業を生んでいた産業機器メーカー
約1年前に製作した、コンプレッサー用タンクの外周溶接システムの現場です。
溶接工程の処理能力が追いつかず、後工程の組付け担当が夕方まで手待ちになり、そこから残業で挽回する毎日でした。
残業していたのは組付け側なのに、原因は溶接側にあったわけです。
「残業を減らしたくて相談したのに、提案されたのは残業していない側の工程だった」と担当者は苦笑いされていましたが、工程の流れを数字でお見せすると納得いただけました。
溶接システムの導入でサイクルが安定し、後工程へ流れる量が平準化されました。
ケースによりますが、残業が起きている工程と、残業の原因になっている工程は別の場所にあることがよくあります。
石川工機は業界歴52年、現場確認と工程分析から入るのはこのためです。
どこがボトルネックかを見誤ると、投資しても残業は減りません。
残業を生んでいる工程の見つけ方3条件
自動化で残業削減を狙うなら、次の3条件で工程を絞り込んでください。
①毎日発生する定型作業であること。
②夕方から夜の時間帯に集中していること。
③「人数×時間」で工数が読めること。
3つ揃う工程は、投資効果の計算が立てやすく、失敗しにくい対象です。
例えば2人×2時間×20日なら月80時間。
残業単価を掛ければ、投資回収の見通しはその場で概算できます。
この計算を持って社内で共有すると、投資の話が感情論にならずに進みます。
正直なところ、工程を丸ごと自動化しなくても、積み付けや搬送など一部を機械に持たせるだけで残業が解消する現場も多くあります。
自社のどの工程が当てはまるか迷ったら、外の目を入れるのが早道です。
石川工機の無料相談では、課題の整理と現場確認から一緒に進めます。
よくある質問
Q1. 残業削減にはどの工程の自動化が効きますか?
A1. 夕方に集中する定型作業が第一候補です。パレタイジング・搬送・検査は毎日発生し工数が読めるため、削減効果を計算しやすい代表格です。
Q2. 費用はどれくらいで、何年で回収できますか?
A2. 協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が目安です。月40時間分の残業と募集費が浮く場合、数年での回収を狙える計算になります。
Q3. 夜間の無人運転はできますか?
A3. 用途によります。ワーク供給が自動化されていれば夜間稼働も設計可能ですが、監視や異常対応の体制が前提です。段階的に無人時間を延ばすのが現実的です。
Q4. 自動化すると社員の仕事を奪うことになりませんか?
A4. 中小工場では人員削減より配置転換が実態です。繰り返し作業から段取り・検査・改善へ人を移し、残業を減らしながら生産量を維持するのが一般的です。
Q5. 小ロット多品種の工場でも残業削減はできますか?
A5. 可能です。品種切り替えの多い現場では、段取り替えのしやすさを重視した設備設計が条件になります。全品種でなく主力品種に絞る方法もあります。
Q6. 補助金は使えますか?
A6. 省力化・生産性向上を目的とした国や自治体の補助金が活用されるケースが多くあります。公募時期と要件が毎年変わるため、計画段階での確認が必要です。
Q7. 相談から稼働までどれくらいかかりますか?
A7. 内容によりますが、現場確認・工程分析から設計・製作・据付まで、数カ月から1年程度が目安です。繁忙期を避けた据付計画も含めて調整できます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 残業の原因は工数のギャップ。時間管理ではなく仕事量に手を入れる
- 夕方に集中する定型工程を機械へ移せば、残業は構造的に減る
- 残業している工程と原因工程は別のことがある。工程分析から始める
残業ありきの生産計画は、放置するほど人が採れなくなり、さらに残業が増える悪循環に入ります。
まずは、残業時間帯に誰が何をしているかを1週間記録してみてください。
そこに移し替えられる工数が必ず見えてきます。
この記録は、業者へ相談するときの一次資料にもなります。
図面や現場写真だけでも判断材料になります。
工数をどこまで機械へ移せるか、石川工機に一度ご相談ください。現場を見て、成立条件から一緒に整理します。
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以下では、生産自動化を考えるうえで代表的な視点を整理しています。
👉人手不足に悩む経営者が、自動化で何が解決できるか判断したい
👉初めて自動化を検討する企業が、何から始めるべきか判断したい
👉設備選定に悩む担当者が、ロボットの種類を比較して判断したい
👉業者選定で失敗したくない企業が、選定基準を知りたい
👉工場スペースに制約がある企業が、導入可否を判断したい