省スペースロボットの選び方|設備を増やせない現場を救う選定基準とは
これ以上設備を置く場所がない…省スペース型ロボットで限られた面積でも自動化を成立させる機種選定のコツ
省スペースロボットの選定は、本体の小ささではなく「システム全体が収まる面積」で判断するのが正解です。
確認すべき基準は5つ。
設置面積、リーチと可搬重量、安全柵の要否、制御盤の置き場所、そして将来の拡張性です。
協働ロボットなら安全柵を省略できる場合があり、システム全体で1〜2平方メートル程度に収まる構成も可能です。
設備会議で「その案は置く場所がないだろう」と言われ、資料を閉じた経験はないでしょうか。
「本体が小さければ入るのか」「カタログのどの数字を見ればいいのか」。
機種選定には順番があり、順番を間違えると小さいロボットを買っても現場に収まりません。
この記事では、設備を増やせない現場のための選定基準と運用の工夫を解説します。
【この記事のポイント】
- 見るべきは本体サイズではなく、柵・制御盤・供給装置まで含めた総面積
- 選定の起点は機種カタログではなく、ワークの重さ・大きさ・動作範囲
- 可動式架台で複数工程を兼用すれば、1台分のスペースで2工程を自動化できる
この記事の結論
- 一言で言うと、省スペース化の主役はロボットではなくシステム設計
- 最も重要なのは、工程の要求条件から逆算して機種を絞ること
- 協働ロボットは本体300〜500万円程度、条件を満たせば柵なし運用が可能で狭い現場と相性が良い
- 機種選定に迷ったら、現場を実測してくれるSIerと一緒に決めるのが近道
設備を増やせない現場でロボットを選ぶ前に整理すること
カタログを何冊集めても、機種は決まりません。
決まらない理由は情報不足ではなく、自社側の条件が整理されていないからです。
まず、選定の前提を3つ押さえましょう。
「小さいロボット」ではなく「小さく収まるシステム」を選ぶ
ロボット単体の設置面積は、実はシステム全体のごく一部です。
ワークを供給するコンベアやストッカー、制御盤、安全柵、操作スペース。
これらを合計した面積が、現場に必要な本当の広さになります。
よくあるのが、本体の小ささで機種を決めたあと、周辺装置が入らず計画が止まるケース。
省スペースをうたう機種でも、供給装置が大きければ意味がありません。
逆に、本体が多少大きくても、台車供給や架台一体型の設計にすればトータルでは小さく収まる。
比較の単位を「本体」から「システム」に変えることが、選定の第一歩です。
選定の起点はワークの重さ・大きさ・動作範囲
機種選定で最初に確認するのは、次の3つの数字です。
第一に、ワークとハンドの合計重量。
ロボットの可搬重量は数キロから数十キロまで機種で大きく異なり、ハンドの重さを忘れると選定をやり直すことになります。
第二に、動作範囲。
リーチは機種により700〜1300ミリ程度が中心で、取りに行く位置と置く位置が範囲に収まるかを図面で確認します。
第三に、サイクルタイム。
1個あたり何秒で処理する必要があるかで、機種のクラスが変わります。
この3つが決まれば、候補は数機種まで自然に絞れます。
カタログから入るのではなく、工程の要求条件から逆算する。
遠回りに見えて、これが一番早い方法です。
協働ロボットと小型産業ロボットの使い分け
省スペース用途では、協働ロボットと小型産業ロボットが比較対象になります。
協働ロボットは、リスクアセスメントで安全条件を満たせば柵なしで設置でき、柵の面積を丸ごと削減可能です。
速度は控えめですが、人と作業スペースを共有できる柔軟さがあります。
小型産業ロボットは高速・高精度ですが、原則として柵が必要です。
サイクルタイムが厳しい工程は産業ロボット、人の隣で場所を取れない工程は協働ロボット。
正直なところ、どちらが正解かは工程次第で、両方を比較見積りする価値があります。
日本ロボット工業会の統計でも協働ロボットの出荷は増加傾向にあり、選択肢は年々広がっています。
私たちが扱うテックマンロボットは、カメラを標準搭載した協働ロボットで、省スペース案件での採用が中心です。
省スペースロボットの選定基準と現場での運用の工夫
前提が整理できたら、いよいよ具体的な選定です。
ここでは私たちが現場確認で実際に使っている基準と、スペース効率を上げる運用の工夫を紹介します。
選定基準5つ:面積・リーチ・柵・制御盤・拡張性
比較表を作るなら、この5項目を並べてください。
第一に、システム総面積。
柵・供給装置・操作スペースまで含めた占有面積で比べます。
第二に、リーチと可搬重量の余裕度。
ぎりぎりの選定は、ワーク変更に対応できません。
2割程度の余裕が目安です。
第三に、安全柵の要否と方式。
柵なしが成立するか、エリアセンサーで代替できるかで面積は大きく変わります。
第四に、制御盤のサイズと設置場所。
見落とされがちですが、制御盤が架台に収まる機種は現場での自由度が高い。
第五に、拡張性。
将来ハンドを替えて別ワークに対応できるか、移設できるか。
5項目を埋めていくと、「安いが将来性のない案」と「少し高いが長く使える案」の違いが数字で見えてきます。
実例:機種先行で迷走しかけた現場が工程逆算で決めた話
岐阜県の電子部品関連メーカーの話です。
検査後の箱詰め工程を自動化したいと、担当者は展示会で3機種まで候補を絞っていました。
ところが、どの機種のリーチ図を見ても判断がつかない。
「毎晩カタログを並べて見比べるが、決め手がないまま3か月たった」と相談に来られました。
現場確認でワークの取り出し位置と箱の位置を実測すると、候補3機種のうち2機種はリーチ不足と判明。
さらにハンド重量を加えると、残る1機種も可搬重量がぎりぎりでした。
最初は「せっかく絞った候補を否定された」と複雑そうな表情でしたが、工程条件から逆算し直した結果、当初は候補になかった機種で設置面積もサイクルタイムも成立。
供給側もストッカーをやめて台車方式に変え、システム全体の占有面積は当初案から3割ほど小さくなりました。
「3か月悩んだことが2回の打ち合わせで決まった」と言われたのが印象に残っています。
機種を先に決めてから現場に押し込むのではなく、現場から機種を導く。
順番を変えるだけで、選定はここまで速くなります。
機種選びに行き詰まったら、条件の整理から石川工機に相談してみてください。
カタログの数字を現場の数字に翻訳するのが、私たちの仕事です。
可動式・兼用という運用でスペース効率を上げる
もう一つの省スペース戦略が、1台を複数工程で使い回す運用です。
三重県の金属加工の会社では、午前は機械へのワーク供給、午後は完成品の箱詰めと、時間帯で工程を分けてキャスター付き架台の協働ロボットを移動させています。
位置決めピンで架台を固定し、プログラムを切り替えるだけの段取りです。
導入前、社長は「移動のたびに調整が必要になるのでは」と半信半疑でした。
実際には切り替えは十数分で安定し、いまでは朝の予定ボードにロボットの「勤務先」が書き込まれているそうです。
2工程分の設備を置く面積がなくても、1台分の面積で2工程を省人化できる。
設備を増やせない現場にとって、これは大きな選択肢です。
ただし兼用は治具設計と運用ルールの作り込みが前提で、どの工程でも成立するわけではありません。
私たちは治具設計から組付け・調整まで自社対応しているので、兼用の成立条件も含めて判断できます。
よくある質問
Q1. 省スペースロボットとは、どのくらいの設置面積を指しますか?
A1. 明確な定義はありませんが、システム全体で1〜2平方メートル程度に収まる構成を指すことが多いです。
本体だけでなく柵・制御盤込みで比較してください。
Q2. 協働ロボットの価格はいくらくらいですか?
A2. 本体で300〜500万円程度、ハンド・架台・立ち上げを含むシステム全体でその1.5〜3倍が一般的な目安です。
構成次第で大きく変わるため相見積りをおすすめします。
Q3. 小さいロボットは力も弱いのでしょうか?
A3. 概ね比例します。
小型機の可搬重量は数キロ程度が中心で、ハンド込みで超えないかの確認が必須です。
重量物はパレタイジング向けの中型機が候補になります。
Q4. 柵なしで置けるかどうかは誰が判断するのですか?
A4. リスクアセスメントに基づき、導入企業とSIerが協議して判断します。
機種が協働型というだけで無条件に柵なしにはできない点に注意してください。
Q5. 1台のロボットを2つの工程で兼用するのは現実的ですか?
A5. 条件が合えば現実的です。
位置決め治具とプログラム切り替えで、十数分程度の段取り替えで運用している現場があります。
ワークと工程の相性確認が前提です。
Q6. 天井が低い工場でも設置できますか?
A6. 多くの協働ロボットは高さ2メートル以下で構成できます。
上方への動作範囲を制限する設定も可能なので、天井高を実測して相談してください。
Q7. 機種選定だけの相談でも受けてもらえますか?
A7. 可能です。
私たちは工程分析から機種の適性判断までを相談の入り口としており、現場確認と概略提案までは費用をいただいていません。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 省スペース化は本体の小ささではなく、柵・制御盤・供給装置込みの総面積で考える
- 選定はカタログからではなく、重量・リーチ・サイクルタイムの逆算で絞り込む
- 可動式・兼用運用なら、1台分の面積で複数工程の自動化も成立する
まずは自動化したい工程の「重さ・距離・秒数」を書き出すことから始めてください。
その3つの数字さえあれば、機種の話は一気に具体化します。
数字の測り方が分からなければ、それごと相談で構いません。
現場の実測から機種選定まで、石川工機がお手伝いします。
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