協働ロボットがピッキング作業を行うデモ装置の写真

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人手不足の工場対策方法7選|採用に頼らず現場が回る部分自動化とは

課題解決判断

求人を出しても人が来ない…慢性的な人手不足の工場が、採用に頼らず部分自動化で現場を回すための対策方法

求人を出しても応募が来ないのは、募集文の書き方の問題ではなく構造の問題です。

中小企業白書でも、人手不足を経営課題に挙げる中小製造業は半数を超えると報告されています。

工場が打てる対策は大きく7つあり、そのうち6つは「採用以外」の手段です。

基本方針は、人を増やすことではなく「人がやらなくていい作業」を減らすこと。

「求人媒体を替えれば来るのか」「時給を上げる体力はもうない」「このままではベテランが先に倒れる」。

そう思いながら、夜中に求人サイトの管理画面を何度も更新していないでしょうか。

この記事では、名古屋で50年以上生産設備の製作に携わってきた立場から、採用に頼らず現場を回す7つの対策を、費用感と実例つきで整理します。

【この記事のポイント】

  • 人手不足対策は「採用強化」以外に6つある。最初の一歩は工程の棚卸し
  • 全工程の自動化は不要。1工程だけの部分自動化なら数百万円台から現実的
  • 人にしかできない仕事へ人を寄せ、繰り返し作業は機械へ渡すのが基本方針

この記事の結論

  • 一言で言うと、人手不足対策の本命は「採用」ではなく「必要な人数を減らす現場づくり」
  • 最も重要なのは、搬送・検査・単純繰り返しなど「機械に渡せる作業」の特定
  • 協働ロボットは本体300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が相場
  • 迷ったら1工程だけのスモールスタートで効果を確かめるのが安全

なぜ求人を出しても人が来ないのか|工場の人手不足は構造問題

「待てば採れる」時代が終わった3つの理由

応募が来ない理由は、景気の波ではありません。

第一に、生産年齢人口そのものが毎年数十万人単位で減り続けています。

第二に、経済産業省のものづくり白書が指摘するとおり、製造業の就業者は約20年で1割以上減り、若年層の割合も下がり続けています。

第三に、働く側の選択肢が増えました。

同じ時給なら空調の効いた倉庫や店舗を選ぶ人が多いのが現実です。

つまり「そのうち採れる」は、もう戦略ではなく願望に近い。

仮に採用できても、一人前になるまで数カ月から数年の教育期間が必要で、その間の負担は既存メンバーにかかります。

募集をやめる必要はありませんが、採用だけに賭ける計画は分が悪すぎます。

採用は続けつつ、採れない前提の現場をつくる。

この二段構えが、いま多くの工場が取っている現実的な路線です。

人手不足のダメージは「採用費のムダ」だけではない

求人費が回収できないことより怖いのは、現場の連鎖反応です。

欠員分の作業は残った人の残業で吸収され、疲労がたまると品質トラブルが増えます。

品質対応に追われてさらに残業が増え、耐えかねた中堅が辞めていく。

よくあるのが、この悪循環に入ってから相談に来られるケースです。

シフト表を何度組み替えても埋まらないマスを眺めて、結局自分の名前を書き込む。

そんな夜が月に何度もあるなら、現場はすでに限界のサインを出しています。

悪循環を断つ場所は採用ではなく、「欠員でも回る工程」を1つずつ増やすことにあります。

「全部自動化」ではなく「部分自動化」という現実解

人手不足対策としての自動化は、ラインを丸ごと機械化することではありません。

1つの工程、極端に言えば1つの動作だけを機械に渡すのが部分自動化です。

たとえば加工そのものは人が担い、加工後の箱詰めとパレット積みだけロボットに任せる。

これだけで2人がかりの工程が1人になり、空いた1人を別の工程に回せます。

「ロボットを置けば自動化できる」という誤解で失敗する例は多いのですが、逆に「うちには無理」という思い込みで機会を逃す例も同じくらい多い。

判断の分かれ目は、対象物の形状や置き方が安定しているか、動作が毎回同じか、という成立条件の確認です。

ここを飛ばして機械だけ先に買ってしまうと、使われない設備が現場の隅に残ります。

どの作業なら渡せるかは、現場を見れば判断できます。

採用に頼らず現場が回る人手不足対策7選

対策1〜3:費用をかけずに今月から着手できる改善

対策1は、工程の棚卸しです。

誰が・どの作業に・1日何分使っているかを1週間だけ記録してください。

「人にしかできない作業」と「人でなくてもいい作業」の比率が見えます。

経験上、後者が3割を超える工場は珍しくありません。

対策2は、動線とレイアウトの見直しです。

部品置き場と作業台の位置を変えるだけで、1日数十分の歩行が消えることがあります。

対策3は、作業の標準化です。

手順書と治具で「誰でもできる作業」を増やせば、応援や配置転換が利くようになります。

ベテランのやり方を動画で残しておくだけでも、教育の時間はかなり短縮できます。

この3つはお金がほとんどかかりません。

そして実は、この棚卸しの記録がそのまま、後の自動化検討の設計資料になります。

対策4〜7:機械と設備に「人の作業」を渡す

対策4は、搬送・パレタイジングの自動化です。

重量物の積み降ろしは腰痛リスクが高く、厚生労働省の統計でも腰痛は休業4日以上の労働災害で大きな割合を占めます。

人が最も嫌がる作業から機械に渡すのが定石です。

対策5は、検査の自動化。

画像処理を使えば、目視検査に張り付いていた人を組立や段取りに回せます。

対策6は、既存設備へのロボット後付けです。

設備を丸ごと更新せず、投入・取出しだけロボット化する方法で、費用を抑えられます。

いま動いている機械を活かせるため、生産を大きく止めずに進めやすいのも利点です。

対策7は、既製品で対応できない工程のための特注自動機です。

ケースによりますが、費用の目安は協働ロボット本体で300〜500万円程度、周辺装置や安全対策を含めたシステム全体でその1.5〜3倍。

決して小さな金額ではないものの、年間数百万円の人件費と採用費が毎年続くことと比べて判断する話です。

部分自動化で現場が回るようになった2つの実例

1つ目は、岐阜県の樹脂部品メーカーでの例です。

成形後の箱詰めとパレット積みに2名が張り付き、求人を1年出しても補充できていませんでした。

20キロ近い箱を1日に何百回も持ち上げる工程で、応募が続かないのも無理はありません。

「ロボットって、うちみたいな小さい工場でも使えるんですか」というのが、最初の相談の一言です。

正直なところ、社長も半信半疑のまま現場確認が始まりました。

工程を分析すると、自動化すべきは箱詰め以降だけで、協働ロボットによるパレタイジングで成立すると判断。

導入後は2名の工程が1名になり、浮いた1名は成形機の段取りに回っています。

協働ロボットなら安全柵を最小限にできるため、狭い通路をつぶさずに設置できた点も決め手でした。

後日訪問したとき、「求人、いったん止めたんですわ」と笑っておられたのが印象的でした。

2つ目は、愛知県内の自動車部品メーカーの塗布工程です。

シール材の塗布は熟練者頼みで、その方の残業が月60時間を超えていました。

塗布は量とタイミングの感覚がものを言う作業で、代わりが利かない状態が何年も続いていたそうです。

最初の打ち合わせでは「機械で同じ品質が出るとは思えない」と技術部長が渋い顔をされていました。

それでもテスト塗布で品質データを確認し、導入を決断。

塗布装置の稼働後は作業が安定し、残業は月20時間台まで下がっています。

私たちはこうしたシール材塗布装置だけで400件以上の製作実績がありますが、それでも毎回、現場を見てから成立条件を判断します。

どの工程から手を付けるべきか迷う段階でも、工程分析からの相談で構いません。

よくある質問

Q1. 人手不足対策として、まず何から始めるべきですか?

A1. 工程の棚卸しです。

1週間、誰がどの作業に何分使っているか記録するだけで「機械に渡せる作業」が見えます。

費用ゼロで始められ、自動化検討の基礎資料にもなります。

Q2. 部分自動化の費用はいくらぐらいかかりますか?

A2. 協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が一般的な目安です。

工程内容と周辺装置で大きく変わるため、現場確認後の見積もりで確認してください。

Q3. 数人規模の小さな工場でも自動化はできますか?

A3. できます。

実際に十数名規模の工場で、パレタイジングだけを協働ロボット化した例が複数あります。

規模より「渡せる作業があるか」で決まります。

Q4. 自動化すれば人はもう採らなくていいのでしょうか?

A4. いいえ、目的は採用ゼロではなく「採れなくても回る現場」です。

繰り返し作業を機械に渡し、人は段取り・改善・技能承継に集中させる形が現実的です。

Q5. どんな作業が部分自動化に向いていますか?

A5. 同じ動作の繰り返しで、対象物の形や位置が安定している作業です。

箱詰め、パレット積み、投入・取出し、検査などが代表例。

逆に毎回状況判断が必要な作業は不向きです。

Q6. 補助金は使えますか?

A6. ケースによりますが、中小企業向けの設備投資補助金が自動化に使われる例は多くあります。

公募時期と要件が毎年変わるため、検討初期に商工会議所や支援機関へ確認するのが確実です。

Q7. 導入までどれくらいの期間がかかりますか?

A7. 内容次第ですが、現場確認から見積もりまで数週間、設計・製作・据付までは数カ月単位が目安です。

繁忙期を避けた立ち上げ計画を含めて相談するとスムーズです。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 人手不足は構造問題。採用だけに賭けず「必要人数を減らす現場づくり」へ
  • 対策は7つ。棚卸し・動線・標準化で足元を固め、搬送・検査・後付け・特注機で人の作業を機械に渡す
  • 部分自動化なら数百万円台から。1工程のスモールスタートで効果を確かめる

求人票を書き直す前に、一度だけ現場の作業を数えてみてください。

機械に渡せる3割が見つかれば、打つ手は採用以外にもあります。

どの工程が自動化に向くかは、正直なところ現場を見ないと判断できません。

図面や現場写真だけでも構いませんので、課題の整理から石川工機へご相談ください

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