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自動化の保守サポートは必要?契約するメリットと入らないリスクとは

SIer選定判断

導入後に止まったら誰が直すのか…保守サポート契約のメリットと、保守なし運用が招くリスクの実態

自動化設備の保守サポートの要否は、「停止1時間あたりの損失額」と「社内の保全体制」の2つで判断します。

保守契約の相場は、年間で設備価格の3〜8%程度が目安。

保守なしの運用は、この費用を節約する代わりに、突発停止時の復旧が数日単位になるリスクを引き受ける選択です。

稟議書の保守費用の欄で、手が止まっていないでしょうか。

「毎月の保守料は、本当に必要な出費なのか」

「止まったら、そもそも誰に電話すればいいのか」

「社内で直せるようになれば、契約は要らないのでは」

その迷いは自然なものです。

設備が動いている間、保守費は”何も起きなかったことへの支払い”に見えるからです。

この記事では、保守なし運用の現場で実際に起きたことと、契約要否を判断する5つの基準を、設備を作る側の本音で解説します。

【この記事のポイント】

  • 保守サポートの要否は「停止時の損失額×社内保全体制」で決まる
  • 保守なし運用の本当のリスクは、故障そのものではなく復旧までの時間
  • 不安だった人が納得できた判断基準5つで、自社に必要かを自分で結論づけられる

この記事の結論

  • 一言で言うと、保守契約は故障の保険ではなく「復旧時間を買う」契約
  • 最も重要なのは、停止1時間あたりの損失額を先に計算しておくこと
  • 社内に保全担当がいない工場ほど、保守サポートの価値は大きい
  • 契約内容は各社で差が大きいため、保守条件も含めてSIerを比較すべき

保守なし運用が招くリスクの実態

設備は必ず止まる:チョコ停と突発停止の現実

最初に、耳の痛い事実からお伝えします。

どれだけ丁寧に作った設備でも、止まるときは止まります。

センサーの汚れ、ワークの寸法ばらつき、消耗部品の摩耗。

数分で復帰する「チョコ停」は、どの自動化現場でも起こります。

私たちの感覚では、立ち上げ直後の3か月は特に調整が続き、そこを越えると安定期に入る設備が多いです。

問題は、原因を放置したまま突発停止に育ってしまうケースです。

仮に1時間の停止で10万円の売上機会を失う工程なら、復旧に3日かかれば影響は200万円を超える計算になります。

経済産業省のものづくり白書でも、設備の老朽化と保全人材の不足は製造業共通の課題として繰り返し指摘されています。

「止まったらどうしよう」という不安は、心配のしすぎではありません。

設備を長く使う前提に立てば、正しい問いです。

保守なしで起きがちな3つの事態

保守の窓口を持たずに運用を始めた現場では、共通した事態が起きます。

1つ目は、復旧待ちの長期化。

どこに連絡すべきか分からず、部品の手配先を探すところから始まり、数日が消えます。

2つ目は、自己流の調整による悪化。

その場しのぎでパラメータを触り、直ったように見えて別の不具合を呼び込むパターンです。

3つ目は、改善の停止。

だましだまし動かすことが目的になり、サイクルタイム短縮や品種追加といった前向きな改善が止まります。

正直なところ、3つ目が一番もったいない。

設備は導入した日が完成形ではなく、現場に合わせて育てていくものだからです。

【実体験】相談先が消えた板金加工会社の話

愛知県内の板金加工会社から、他社で製作された溶接設備について相談を受けたことがあります。

導入から数年、設備を作った会社が廃業しており、相談先がなくなっていました。

社内で設備に詳しかった担当者も、前の年に退職。

タッチパネルのエラー表示を、誰も読み解けない状態でした。

「動いてはいるんです。ただ、いつ止まるかと思うと、朝一番の始業ボタンを押すのが怖くて」

工場長は毎晩、帰り際に設備の音を聞いてから帰るのが習慣になっていたそうです。

私たちは既存設備の改造・調整も請け負っているため、現場確認から入り、図面のない部分は実機を測って補いました。

消耗部品のリストを整備し、予備品を2点だけ棚に置く運用に変更。

それだけでも、現場の空気は変わりました。

この件の教訓はシンプルです。

保守とは契約書の問題である前に、「いざというとき電話できる相手が存在するか」の問題だということです。

導入後のフォローまで含めて設備づくりだと、私たちは考えています。

今お使いの設備の保守窓口がない状態でも、現場を見てから対応可否を判断できますので、状況の整理からご相談ください。

保守契約のメリットと、要否を判断する基準

保守サポートで得られる4つのメリット

メリットは4つに整理できます。

①復旧の速さ。

症状の切り分けを電話で始められ、部品手配のルートが最初から確保されています。

②予防保全。

消耗部品を計画的に交換し、突発停止そのものを減らします。

③改善提案。

定期的に現場を見る目があると、「ここを直せばもう少し楽になる」という提案が生まれます。

石川工機でも、相談から導入までの8ステップの最後を「運用開始後のフォロー・改善提案」と位置づけています。

④社内教育。

点検のたびに操作や日常点検のコツが現場に蓄積し、自社でできる範囲が広がります。

ケースによりますが、②と④が効いてくると、結果的に保守の呼び出し回数自体が減っていきます。

保守契約の理想は、出番が減っていくことです。

付け加えると、不調の設備へ無理に手を入れる瞬間は、けがのリスクも上がります。

復旧を任せられる窓口を持つことは、安全対策の一部でもあります。

不安だった人が納得できた5つの判断基準

「本当に契約すべきか」と迷っていた方々が、最終的に納得して判断した基準は次の5つです。

①停止1時間あたりの損失額。

人件費と生産量から概算し、損失が大きい工程ほど保守の価値は上がります。

②社内の保全体制。

電気図面を読める人、機械調整ができる人が社内にいるか。

③設備の複雑さ。

ロボットや画像処理を含む設備は、単純な専用機より外部サポートの必要性が高くなります。

④SIerとの距離。

駆けつけに半日かかる距離か、1時間で来られる距離か。

⑤代替手段の有無。

止まったとき手作業で逃げられる工程なら、リスクは一段下がります。

この5つは、どのSIerと契約する場合にも使える公平な基準です。

5つのうち3つ以上で不安が残るなら、契約する価値は十分にあります。

逆に、保全体制が厚く代替手段もある工場なら、スポット対応で十分な場合もあります。

1社の説明だけで決めず、保守条件も含めて2〜3社を比較してください。

【実体験】30年動き続ける装置と、迷った末の判断

自動車部品向けのシール材塗布装置では、30年以上取引が続いている客先があります。

石川工機はこの分野で400件以上の装置を手がけてきましたが、長く動いている設備に共通するのは、導入後のやり取りが途切れていないことです。

一方で、迷った末に契約した例もあります。

数年前、タンク外周の溶接システムを納めた会社の話です。

検討時、担当者は保守費用に難色を示していました。

「初期費用だけでも予算ぎりぎりなのに、毎年の固定費が乗るのはきつい」

比較検討の中で他社の条件も集め、迷いは1か月以上続きました。

気持ちが変わったのは、停止時の損失を一緒に計算したときです。

その工程は前後工程の中継点で、止まると翌日の出荷まで影響する位置にありました。

損失の試算は保守費の年額を1回の停止で上回る規模。

決定前には「電話してから何時間で来られるか」「部品はどこまで預けておけるか」を細かく確認されました。

運用開始から1年ほど経ったころ、その担当者がこう言いました。

「最近、朝礼でこの設備の話題がまったく出なくなりました」

話題にならない設備こそ、良い設備です。

その静けさを支えているのが保守だと、私たちは思っています。

保守費は「何も起きなかったことへの支払い」ではなく、「何も起きない状態をつくる作業」への支払いでした。

よくある質問

Q1. 保守サポートの費用相場はどれくらいですか?

A1. 年間で設備価格の3〜8%程度が一般的な目安です。点検頻度や駆けつけ条件で変わるため、金額よりも「含まれる対応範囲」を先に確認してください。

Q2. 保守契約なしで運用するのは無謀ですか?

A2. 一概には言えません。社内に保全人材がいて、停止しても手作業で代替できる工程なら、スポット対応という選択もあります。判断基準5つで確認してください。

Q3. スポット対応と年間契約はどちらが得ですか?

A3. 呼び出しが年1〜2回で済む設備ならスポットが安く、停止損失が大きい工程なら年間契約が有利です。停止1時間の損失額を先に計算するのが判断の近道です。

Q4. メーカー保証があれば保守契約は不要では?

A4. 保証は初期不良への対応が中心で、期間も限られます。消耗部品の交換や調整、改善提案は保証の範囲外です。役割が違うものとして分けて考えてください。

Q5. 他社が製作した設備でも保守を頼めますか?

A5. 相談可能です。石川工機でも既存設備の改造・調整に対応しており、図面がない場合は実機を確認して判断します。まず現状を見せてください。

Q6. 社内で保全できる人材を育てる方が良くないですか?

A6. 両立が理想です。日常点検と一次対応は社内、原因究明と修理は外部という分担が現実的です。点検の立ち会い自体が教育の場になります。

Q7. 保守条件はSIer選定の段階で確認すべきですか?

A7. 必ず発注前に確認してください。駆けつけ時間・対応範囲・部品供給年数は会社ごとに差が大きく、導入後には交渉材料が減ります。見積比較の項目に含めるべきです。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 保守契約の本質は、故障を防ぐことではなく「復旧時間を買う」こと
  • 要否は損失額・保全体制・設備の複雑さ・距離・代替手段の5基準で決める
  • 保守条件はSIer比較の段階で確認し、発注前に交渉しておく

「止まったらどうしよう」という不安は、設備と長く付き合う覚悟の裏返しです。

まずは停止1時間の損失額を計算するところから始めてみてください。

計算の仕方が分からなければ、その場で一緒に試算します。

現場を見てからでないと分からないことは、正直多いです。

今の設備の状況を書き出したメモだけでも構いませんので、石川工機へご相談ください

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