協働ロボットがピッキング作業を行うデモ装置の写真

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工場レイアウト変更の効果はどれくらい?投資対効果で見る改善の実力

設計制約対応

レイアウトを変えるだけで本当に効果が出るのか…投資対効果で見るレイアウト変更の改善インパクト

工場レイアウト変更の効果は、「運搬・歩行時間の削減率」で測るのが正解です。

現場の作業時間のうち、運搬や歩行などの付随作業は2〜3割を占めるのが一般的。

このうち3分の1を削れれば、設備を1台も買わずに生産時間を5%前後生み出せる計算になります。

逆に、動線に手を付けないまま設備だけ足しても、効果は半減します。

2階の窓から現場を見下ろして、人の動きを目で追ったことはないでしょうか。

「同じ通路を、同じ人が1日に何往復もしている」

「台車が擦れ違えなくて、どちらかが必ず待っている」

「でも、機械を動かす工事費に見合う効果があるのか分からない」

この記事では、レイアウト変更の効果を金額に換算する方法と、効果が出るケース・出ないケースの境目を、設備の据付や移設まで手がけるSIerの立場から解説します。

【この記事のポイント】

  • 効果の正体は「移動の削減」。歩行距離×回数×人数で金額換算できる
  • レイアウト単独で効く現場と、自動化とセットでないと効かない現場がある
  • 移設工事費の回収期間は「1〜3年以内」が投資判断のひとつの目安

この記事の結論

  • 一言で言うと、レイアウト変更は「安い割に効く」改善だが、万能ではない
  • 最も重要なのは、変更前に運搬・歩行のムダを数値で測っておくこと
  • 効果測定なしの模様替えは、苦労のわりに成果が残らない
  • 設備の増設や自動化の予定があるなら、その前にレイアウトを見直すのが順番として正しい

レイアウト変更の効果の正体と、その測り方

削れるのは「作業」ではなく「移動」

最初に、期待値を正しく置きましょう。

レイアウト変更で速くなるのは、加工や組立そのものではありません。

削れるのは、部品を取りに行く歩行、仕掛品の運搬、台車の待ち時間。

つまり「付加価値を生まない移動」です。

地味に聞こえるかもしれません。

ただ、この移動が現場の時間をどれだけ食っているかは、測ってみると驚きます。

1回30秒の部品取りが1日100回あれば、それだけで50分。

作業者3人なら1日2.5時間、年間では600時間規模になります。

時給換算2,000円なら年間120万円。

移動は毎日発生するため、削減効果も毎日積み上がります。

中小企業白書でも、中小製造業の生産性改善では大きな投資の前にムダ取りの余地が残っているケースが多いと指摘されています。

効果の測り方:歩行距離×回数×人数で金額にする

測り方は難しくありません。

手順は3つです。

①対象エリアの平面図に、人とモノの動きを線で書き込む。

いわゆる動線図です。

線が濃く重なる場所が、ムダの候補地。

②主要な移動について「距離・1日の回数・関わる人数」を数える。

ストップウォッチと正の字で十分です。

③時間に換算し、時給を掛けて年間金額にする。

この数字が、移設工事費と比べる分母になります。

たとえば効果が年間120万円で、工事費が150万円なら、回収は1年3か月。

ケースによりますが、回収1〜3年以内なら投資として十分成立する水準です。

感覚の議論を数字の議論に変える。

レイアウト改善の成否は、実はこの測定段階でほぼ決まります。

【実体験】部品棚を12メートル動かした電子機器組立工場

電子機器を組み立てる工場から、生産性の相談を受けたときの話です。

テーマは当初「組立工程の自動化」でした。

ところが現場を歩くと、作業者が部品棚と作業台の間を頻繁に往復している。

測ってみると、片道12メートルを1人あたり1日70回前後。

歩行だけで1人1日40分を超えていました。

年間に直せば、1人あたり160時間分の歩行です。

「毎日歩いていると、それが当たり前になってしまって。誰も疑問に思わなかったんです」

工程分析の結果を見た製造課長は、しばらく動線図から顔を上げませんでした。

まず実施したのは、使用頻度の高い部品棚を作業台の背面へ移す配置換えと、仕掛品置き場の位置変更。

大きな工事はなく、費用は棚の移設と表示類の整備程度、金額にして数十万円の投資です。

それだけで、1人あたりの歩行時間はおよそ半分に。

自動化の検討は、その後に改めて仕切り直しました。

順番が逆だったら、ムダな動線ごと自動化するところだった。

この案件は、私たちにとっても教訓になっています。

動線図づくりは、工程分析の一部として私たちも日常的に行っています。

自動化の相談の前段階として、現場の動きを一緒に測るところから始めることも可能です。

投資対効果を最大化する考え方

レイアウト変更単独では効果が出ないケース

先に限界も述べておきます。

効果が出にくいのは、次の3つのケースです。

1つ目は、ボトルネックが移動ではなく設備能力にある場合。

機械の処理待ちで人が立っているなら、配置を変えても生産量は増えません。

この場合は設備能力の増強か、段取り時間の短縮が先です。

2つ目は、品種ごとに流れがバラバラな場合。

ある品種に最適化した配置が、別の品種ではムダを生むことがあります。

3つ目は、変更後の定着施策がない場合。

置き場を変えても、表示や運用ルールを整えなければ、3か月で元の置き方に戻ります。

正直なところ、レイアウト変更の失敗の多くは配置案のまずさではなく、この定着段階の手抜きです。

測って、変えて、測り直す。

効果測定までがレイアウト変更です。

もうひとつ付け加えると、現場の納得も定着の条件です。

配置を決めた理由を説明されないまま持ち場が変わると、人は静かに元へ戻します。

変更案づくりの段階から、現場の声を入れてください。

自動化とセットで考えると回収が早くなる

レイアウトと自動化は、別々の話ではありません。

むしろ同時に設計すると、互いの投資対効果を引き上げます。

理由は2つ。

1つは、ロボットや自動機は「モノが決まった位置に来る」ことで初めて成立するからです。

動線とモノの置き方が整った現場は、自動化の前提条件がすでに揃っています。

もう1つは、省スペース化です。

動線を整理して生まれた空きスペースが、そのままロボットの設置場所になります。

石川工機はスペース制約のある現場向けの省スペース自動化を得意としており、「置く場所がないから無理」と諦めていた工場でも、レイアウト見直しとセットで成立させた例があります。

経済産業省のものづくり白書でも、人手不足への対応として省人化投資と現場改善を組み合わせる動きが報告されています。

順番はレイアウトが先、自動化が後。

これだけ覚えて帰ってください。

【実体験】積み替え場所を変えて、ロボット1台分の面積を生んだ話

重量物の部品を扱うメーカーで、パレタイジング工程を自動化したときの例です。

相談の発端は、出荷前の積み替え作業による腰への負担でした。

厚生労働省の統計でも、腰痛は製造業を含む職場の労働災害で大きな割合を占めています。

ただ、現場にはロボットを置くスペースがない。

「うちは狭いから無理だと、ずっと思っていました」と工場長。

相談の前には、外部倉庫を借りる案まで検討していたそうです。

図面を引いてみると、答えは配置の中にありました。

空パレットの置き場と製品の仮置き場が離れており、その間の通路が実質的に倉庫化していた。

仮置き場を出荷口側へ寄せ、通路の滞留をなくすと、ロボット1台と安全柵を置ける面積が生まれました。

テックマンロボットを使ったパレタイジングシステムは、これまで3件手がけてきた構成です。

重量物の扱いでは、可搬重量の選定と積み付けパターンの設計が肝になります。

稼働後、積み替え担当だった社員が言いました。

「湿布のストックが、机の引き出しで余るようになりました」

レイアウトの見直しは、それ単体でも効きます。

そして自動化と組み合わせたとき、いちばん大きな仕事をします。

よくある質問

Q1. レイアウト変更の効果はどれくらい見込めますか?

A1. 運搬・歩行は作業時間の2〜3割を占めるのが一般的で、その3分の1を削れれば生産時間を5%前後生み出せます。まず現状の移動時間を測ることが先決です。

Q2. 費用はどれくらいかかりますか?

A2. 棚や台の配置換えなら数万〜数十万円、設備の移設を伴うと配線・配管工事込みで数百万円規模になることもあります。効果金額との比較で判断してください。

Q3. 生産を止めずにレイアウト変更できますか?

A3. 可能です。連休や夜間を使った段階的な移設が一般的で、区画ごとに分けて進めれば停止は最小限にできます。切り替え計画を事前に作ることが条件です。

Q4. 効果が出たかどうかは、どう確認すればいいですか?

A4. 変更前に測った「距離・回数・人数」を、変更後に同じ方法で測り直します。同じ物差しで前後比較することが唯一の確認方法です。

Q5. レイアウト変更と自動化、どちらを先にやるべきですか?

A5. レイアウトが先です。ムダな動線のまま自動化すると、ムダごと固定化されます。整流化した後の方が、必要な設備も小さく済みます。

Q6. 狭い工場でも効果はありますか?

A6. あります。狭い現場ほど通路の滞留や仮置きの影響が大きく、整理の効果が出やすい傾向です。生まれたスペースを省スペース自動化に使う選択肢もあります。

Q7. レイアウトの相談はSIerにできるものですか?

A7. 設備の据付・移設まで手がけるSIerなら対応できます。石川工機も工程分析と動線の確認から入り、設備の移設や自動化まで一貫して対応しています。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 効果の正体は移動の削減。歩行距離×回数×人数で年間金額に換算する
  • 回収1〜3年が投資判断の目安。効果測定なしの模様替えはしない
  • 順番はレイアウトが先、自動化が後。セットで考えると回収が早くなる

まずは平面図を1枚コピーして、人の動きを線で書き込んでみてください。

線の濃いところに、お金が落ちています。

その図面を持って相談に来ていただければ、話は早く進みます。

現場を見てからでないと分からないことは、正直多いです。

動線の測り方からで構いませんので、石川工機へご相談ください。

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