協働ロボットがピッキング作業を行うデモ装置の写真

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ロボットSIerの実績の見方と注意点|件数だけで選ぶと危ない理由

SIer選定判断

実績豊富とうたう会社は多いが何を信じればいいのか…SIerの実績の正しい見方と提案力を測る質問

ロボットSIerの実績は、件数ではなく「中身」で判断するのが正解です。

見るべきは、自社と近い工程の実績があるか、同じ客先との継続取引があるか、直近2〜3年の実績かの3点。

実績1,000件を掲げるSIerより、自社の工程と近い実績を10件持つSIerの方が、成功の確率は高くなります。

夜の事務所で、各社のサイトを何度も見比べてはいないでしょうか。

「実績500件と書いてあるが、うちの業種は入っているのか」

「どこも良いことしか書いていない」

「問い合わせた瞬間、営業攻勢が始まりそうで怖い」

この記事では、SIerの実績ページの正しい読み方と、商談の場で提案力を見抜く質問を、SIerである私たち自身の立場から正直に解説します。

【この記事のポイント】

  • 実績は件数ではなく「工程の近さ・直近性・継続取引」の3点で読む
  • 提案力は「できないことを言えるか」「失敗を語れるか」で見抜ける
  • 比較した人が確認していた5つの判断基準を使えば、選定ミスはほぼ防げる

この記事の結論

  • 一言で言うと、実績件数は参考情報であって決め手ではない
  • 最も重要なのは、自社と近い工程の実績が直近にあるかどうか
  • 商談では「自動化しない方がいい部分はどこか」と質問すると提案力が分かる
  • 1社即決は避け、判断基準を揃えて2〜3社を比較するのが安全

「実績豊富」の中身を分解する|件数だけで選ぶと危ない理由

実績件数が当てにならない3つの理由

理由は3つあります。

第一に、件数の数え方が会社ごとに違うからです。

装置1台を1件と数える会社もあれば、改造や部品交換まで含めて数える会社もあります。

数え方の違う数字を横に並べても、比較になりません。

第二に、実績は得意分野に偏っているからです。

溶接で数百件の実績があるSIerに検査自動化を頼めば、その案件は実質的に経験の浅い分野の仕事になります。

日本ロボット工業会の統計でも、産業用ロボットの用途は溶接・組立・搬送などで出荷傾向が大きく分かれると示されています。

第三に、古い実績が混ざっているからです。

10年前の設備と直近の設備では、使える機器も制御の考え方も別物です。

正直なところ、SIer側の私たちから見ても、「実績○件」という数字だけで問い合わせ先を決めるのはおすすめできません。

実績の「質」を見分ける4つの視点

石川工機の例でお話しします。

エンジン・ミッション用のシール材塗布装置は、これまで400件以上を手がけてきました。

ただ、この数字よりも見てほしいのは「30年以上取引が続いている客先がある」という事実の方です。

設備は納めて終わりではありません。

同じ会社から30年注文が続くのは、納めた設備が現場で動き続けている証拠だからです。

視点は4つ。

①自社と近い工程(溶接・組立・検査・搬送・塗布など)の実績か。

②同じ客先との継続取引があるか。

③直近2〜3年の実績が含まれているか。

④設計から製作・据付・立ち上げまで、どこまで自社対応か。

この4つを質問して、答えが曖昧なままの会社は、候補から外して構いません。

私たち自身の実績も、履歴としては溶接系が多めです。

テックマンロボットを使ったパレタイジングシステムは3件、コンプレッサー用タンクの外周溶接システムは約1年前に1件。

数字にすれば小さく見える分野もあります。

それでも工程の考え方が近ければ応用は利きますし、逆に件数が多くても工程が遠ければ苦戦します。

だからこそ、件数の大小ではなく工程の近さを見てほしいのです。

【実体験】件数だけで選びかけた樹脂部品メーカーの話

愛知県内の樹脂部品メーカーから、外観検査工程の自動化について相談を受けたときのことです。

相談に来られるまでの半年間、品質担当の方は各社の事例ページを巡回しては、ブックマークだけが増えていく状態だったそうです。

その会社は当初、実績件数を前面に出す1社にほぼ決めかけていました。

ところが提案書をよく読むと、掲載事例のほとんどが別業界の搬送案件。

樹脂特有の傷やゲート跡の検出の話になると、回答が急に一般論になったそうです。

「実績が多いことと、うちの製品を検査できることは、別なんですね」

打ち合わせの席で、品質担当の方がぽつりと漏らした一言をよく覚えています。

結局その会社は、画像処理の検証テストを先に行う進め方を選び、実機で検出率を確かめてから発注に進みました。

件数は立派な情報です。

ただしそれはスタート地点であって、決め手にしてはいけない。

この一件は、実績の「見せ方」について私たち自身も考えさせられた出来事でした。

自社の工程に近い経験があるかどうかは、聞けば数分で分かります。

図面や製品写真を見せて「これと近い案件はありますか」と聞くだけでも、各社の反応の差は驚くほど出ます。

返答までの速さや、逆に聞き返してくる質問の中身にも、その会社の理解度は表れます。

迷ったら、まずこの質問から始めてみてください。

提案力を測る質問と、比較した人が確認していたこと

商談の場で提案力を見抜く5つの質問

①「この工程で、自動化しない方がいい部分はどこですか」

できないことを言えるSIerは信頼できます。

②「失敗した案件や、苦労した案件を教えてください」

③「立ち上げ後に想定と違った場合、どう対応しますか」

④「設計・製作・据付のうち、外注に出す工程はどこですか」

⑤「同じ工程の実績を、社名を伏せた形でいいので具体的に教えてください」

実は、この5つの質問には共通点があります。

どれも「うまくいった話」ではなく、「うまくいかなかったときの話」を聞いている点です。

自動化の現場は、想定外との戦いです。

中小企業白書でも、中小製造業の設備投資は導入後の運用定着が課題になりやすいと報告されています。

うまくいかない場面をどれだけ語れるかは、経験の深さそのものです。

比較した人が確認していた5つの判断基準

これまで相談を受けた中で、複数社を比較して決めた方々が確認していたポイントは、ほぼ共通しています。

①実績の工程が近いか。件数ではなく中身。

②見積の内訳を説明できるか。「一式」表記だけの見積は要注意。

③現場を見てから提案しているか。図面だけの即答は疑う。

④トラブル時の対応体制と、会社までの距離。

⑤担当者と話が通じるか。専門用語を現場の言葉に翻訳できるか。

この5つは、どのSIerを比較するときにも使える公平な基準です。

1社目の話がどれだけ魅力的でも、最低2〜3社は比較することをおすすめします。

協働ロボットでも本体300〜500万円程度、システム全体ではその1.5〜3倍が目安になる買い物です。

即決する必要は、どこにもありません。

【実体験】検討開始から発注まで、ある会社がたどった3か月

自動車関連の金属部品を溶接している会社の例です。

最初の相談のとき、生産技術の担当者はかなり警戒していました。

「正直、どの会社も良いことしか言わないので、何を信じればいいのか分からなくて」

比較していたのは3社。

提案内容も金額もバラバラで、社内会議のたびに結論が持ち越しになっていたそうです。

転機は現場確認でした。

私たちは工程分析の段階で「この治具のままではロボットは成立しません」と、できない部分を先にお伝えしました。

最初は半信半疑だったそうです。

ただ、同じ質問を他の2社にもぶつけたところ、回答の具体性に差が出た。

発注前には、立ち上げ後のフォロー体制と過去の失敗事例まで確認されました。

検討期間は約3か月。

運用開始の少しあと、その方から「打ち合わせのたびに作っていた質問リストが、いつの間にか要らなくなった」と言われました。

疑いながら比較を進めた人ほど、最後は納得して決めています。

よくある質問

Q1. 実績件数が多いSIerなら安心ですか?

A1. 件数だけでは判断できません。数え方が会社ごとに違い、得意分野の偏りもあります。自社と近い工程の実績が直近2〜3年にあるかで判断してください。

Q2. 実績の社名を教えてもらえないのは不誠実ですか?

A2. いいえ。秘密保持の関係で顧客名を出せないのがこの業界の通常です。業種・工程・規模のレベルで具体的に語れるかどうかを見てください。

Q3. 何社くらい比較すればいいですか?

A3. 2〜3社が現実的です。1社では相場感がつかめず、5社以上は比較自体が負担になります。前提条件を揃えて見積を取るのが鉄則です。

Q4. 費用の相場はどれくらいですか?

A4. 協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が目安です。治具や安全対策で総額は大きく変わるため、内訳の説明を求めてください。

Q5. 会社の歴史や業界歴は見るべきですか?

A5. 参考になります。石川工機は業界歴52年ですが、年数そのものより「同じ客先と取引が何年続いているか」の方が、設備の信頼性をよく表します。

Q6. 提案書のどこを最初に見るべきですか?

A6. 「できないこと・成立条件」が書かれているかです。リスクに触れず、メリットだけが並ぶ提案書は要注意です。条件を明記する会社の方が誠実です。

Q7. 遠方の有名SIerと地元のSIer、どちらがいいですか?

A7. ケースによりますが、トラブル時の駆けつけや立ち上げ後の調整を考えると、通える距離のSIerを比較候補に1社入れる価値は大きいです。

まとめ

この記事のまとめ:要点3つ

  • 実績は件数ではなく、工程の近さ・直近性・継続取引の3点で読む
  • 提案力は「できないことを言えるか」「失敗を語れるか」で測る
  • 5つの判断基準を揃えて2〜3社を比較すれば、選定の失敗はほぼ防げる

実績の見方が変われば、SIer選びは運任せではなくなります。

まずは自社の課題をメモ1枚に整理して、この記事の質問を各社にぶつけてみてください。

そして比較する2〜3社の中に、私たち石川工機も加えていただければ嬉しいです。

創業から52年、塗布装置400件以上や溶接システムの実績の「中身」を、現場確認の場で包み隠さずお話しします。

図面や写真だけでも構いません。

課題の整理からで大丈夫ですので、石川工機へご相談ください

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