工場の動線が悪いと感じたら|改善方法とレイアウト見直しの効果とは
人が行ったり来たりして時間をロスしている…動線の悪さを数値で把握しレイアウト変更で改善する手順
工場の動線の悪さは、感覚ではなく数字で判断できます。
指標は「作業者1人の1日あたり歩行距離」「運搬回数」「動線の交差回数」の3つです。
歩行距離が1日5kmを超えている現場は、レイアウト見直しで工数を1〜2割削減できる余地が大きい状態です。
改善の手順は「測る→原因を分類する→並べ替える」の3段階で進めます。
午後の工場で、部品を取りに行く作業者と台車が通路ですれ違えず、どちらかが止まって待つ。
その光景を眺めながら、頭の中でこんな声が回っていないでしょうか。
「歩いている時間が長すぎる気がする」
「並べ替えたいが、どの設備から動かせばいいのか分からない」
この記事では、動線の悪さを数値で把握する方法と、レイアウト変更・搬送自動化を組み合わせた改善手順を、設備製作の現場で見てきた実例とあわせて整理します。
【この記事のポイント】
- 動線の悪さは「歩行距離」「運搬回数」「交差回数」の3つで数値化できる
- レイアウト変更だけで解決する現場と、搬送の自動化まで必要な現場は分けて考える
- 設備を動かす順番を誤ると生産停止期間が延びるため、改善は移設手順の設計が9割
この記事の結論
- 一言で言うと、動線改善は「測ってから動かす」が鉄則
- 最も重要なのは、人の移動とモノの移動を分けて記録すること
- 歩行距離が1日5km超、運搬が作業時間の2割超なら見直し効果は大きい
- 並べ替えで消えない運搬は、搬送自動化の検討対象になる
動線の悪さを数値で把握する方法
人の動きは歩数計、モノの動きは動線図で測る
動線改善で最初にやるべきは、設備の移動ではなく計測です。
人の動きは、作業者に歩数計やスマートフォンを持ってもらい、1週間分の歩行距離を記録するだけで見えてきます。
歩幅70cmで換算すると、1日7,000歩は約5kmに相当します。
モノの動きは、工場の図面に製品1個が通るルートを線で書き込む「動線図」が有効です。
線が長い、交差が多い、同じ場所を何度も通る。
図にすると、感覚で「悪い」と思っていた動線が、誰の目にも分かる形になります。
もう1つ有効なのが、定点でのビデオ撮影です。
昼休み前後の30分をスマートフォンで撮っておくと、通路のどこで人が止まり、どこで台車が渋滞するかが一目で分かります。
撮った映像を現場のメンバーと一緒に見ると、「ここ、いつも詰まりますよね」と本人たちの口から改善案が出てくることも多い。
正直なところ、この計測だけで改善点の半分は見つかります。
中小企業白書でも、中小製造業の生産性向上の第一歩として業務の見える化が挙げられており、動線の計測はその入り口にあたります。
動線が悪い工場に共通する3つのパターン
現場確認でよく見るのは、次の3パターンです。
1つ目は「往復運搬」。
加工した部品をいったん仮置き場へ運び、次の工程の担当者がまた取りに行く。
1回で済むはずの移動が2回になっています。
2つ目は「交差」。
人の動線と台車やフォークリフトの動線が同じ通路で交わり、待ち時間と接触の危険が同時に発生します。
3つ目は「仮置きの山」。
工程間の距離が遠いほど仮置きが増え、仮置きが通路を塞ぎ、さらに動線が悪くなる悪循環です。
よくあるのが、増産のたびに設備を「空いている場所」へ置いてきた結果、工程順とレイアウトが一致しなくなっているケース。
どれか1つでも当てはまれば、見直す価値があります。
【実体験】歩行距離を測ったら1日8kmだった樹脂部品メーカー
愛知県内の樹脂部品メーカーから搬送工程の自動化を相談されたときの話です。
現場確認と工程分析の際、作業者の方に歩数計を付けてもらったところ、1日の歩行距離は約8kmでした。
ご本人は「歩くのも仕事のうちだと思っていました」と笑っていましたが、時間に換算すると1日およそ100分が移動だけに消えていた計算になります。
このケースでは、成形機と検査台の位置を入れ替えるレイアウト変更を先に行い、それでも残る完成品の運搬だけを搬送設備で自動化しました。
最初からすべてを機械に置き換える案と比べ、費用は半分以下で済んでいます。
ケースによりますが、動線改善は「並べ替えで消せる移動」を先に消すのが定石です。
測る前は誰も、移動にそれほどの時間が消えているとは思っていませんでした。
数字は、思い込みを静かにひっくり返します。
レイアウト変更と自動化を組み合わせた改善手順
改善を進める5つのステップ
手順は次の5段階です。
①現状計測(歩行距離・運搬回数・交差箇所を1〜2週間記録する)
②原因分類(往復・交差・仮置きのどれに当たるか仕分ける)
③並べ替え案の作成(工程順に設備を並べることを基本に2〜3案を比較する)
④移設計画(生産を止められる連休などに合わせ、動かす順番を決める)
⑤効果測定(移設後に同じ指標を再計測する)
特に重要なのは④です。
設備の移設には電源やエアー配管の工事が伴うため、順番を誤ると停止期間が延びます。
実は、レイアウト変更の失敗の多くは案の良し悪しではなく、移設手順の詰めの甘さが原因です。
また⑤の効果測定も忘れられがちです。
移設して終わりにせず、1か月後に歩行距離と運搬回数を再計測し、数字の変化を朝礼やホワイトボードで共有してください。
「1日8kmが5kmになった」という具体的な数字は、次の改善への一番の推進力になります。
効果が数字で見えれば、現場の協力も自然と得やすくなります。
【実体験】配置換えと搬送自動化を組み合わせた金属加工の現場
岐阜県の金属切削加工の工場では、機械加工から検査、梱包までの動線が建屋を斜めに横切っており、台車の運搬が1日40往復ありました。
相談の席で、社長は「並べ替えるだけで本当に変わるんですか」と半信半疑の様子でした。
その警戒心は当然だと思います。
機械を動かすのは大ごとで、効果が出なければ目も当てられません。
そこで工程分析の結果をもとに、検査台と梱包場を機械側へ寄せる案を提示し、連休を使って移設しました。
運搬は1日40往復から12往復に減り、残った重量物の運搬は後日、搬送設備の導入で対応。
数か月後に伺うと、通路で台車を待つ光景がなくなり、午後の「部品まだ?」という声が消えていたのが印象に残っています。
こうした工程分析は、当社では設備導入の前提として必ず行っています。
図面や現場写真だけでも動線の課題はある程度見えますので、レイアウト検討の段階から石川工機にご相談いただいて構いません。
レイアウト変更だけで済むか、設備が必要かの判断基準
判断基準は次の4つです。
①移動の原因が「配置」にあるなら、並べ替えで解決する
②配置を最適化しても残る運搬が1日20回以上あるなら、搬送自動化の検討対象になる
③運ぶモノが10kgを超え腰への負担が大きいなら、回数が少なくても自動化やパレタイジングを検討する価値がある
④建屋の形状上どうしても工程順に並べられない場合は、搬送設備で距離を埋める
厚生労働省の統計でも、製造業の労働災害では腰痛など運搬に関わる負傷が多く、重量物の運搬は回数だけでなく安全面からも評価すべき項目です。
迷ったら、複数の設備会社に現場を見てもらい、並べ替え案と自動化案の両方を出してもらうと公平に比較できます。
その際の質問は「この運搬は設備なしで消せますか」の一言で十分です。
並べ替えで消せる移動まで設備で解決しようとする提案は、費用が膨らみがちです。
逆に、設備を売り込む前に配置の見直しを勧めてくる会社は、現場を見て判断している証拠だと考えてよいと思います。
よくある質問
Q1. 動線改善だけでどれくらい生産性は上がりますか?
A1. ケースによりますが、移動時間が作業時間の2割を占める現場なら1〜2割の工数削減が目安です。まず歩行距離の計測から始めてください。
Q2. レイアウト変更の費用相場はいくらですか?
A2. 設備の移設費は電源・配管工事込みで1台あたり数十万円〜が目安です。搬送の自動化まで含める場合は数百万円〜になります。
Q3. 生産を止めずにレイアウト変更はできますか?
A3. 完全に止めないのは難しいですが、連休や夜間を使い動かす順番を工夫すれば停止は最小化できます。移設計画の設計が最重要です。
Q4. 何から測り始めればいいですか?
A4. 作業者の歩行距離(歩数計)と台車の運搬回数の2つで十分です。1〜2週間の記録で傾向はつかめます。
Q5. 狭い工場でも動線改善の効果はありますか?
A5. あります。狭い工場ほど交差と仮置きの影響が大きく、並べ替えの効果が出やすい傾向です。省スペース設備との併用も選択肢になります。
Q6. 動線改善と自動化はどちらが先ですか?
A6. 動線改善が先です。悪い動線のまま自動化すると、ムダな搬送まで機械化することになり費用が膨らみます。
Q7. 相談だけでも可能ですか?
A7. 可能です。当社の場合、問い合わせ後の現場確認・工程分析を経て概略仕様と見積りを提示する流れで、課題整理の段階からご相談いただけます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 動線の悪さは歩行距離・運搬回数・交差回数の3つで数値化してから動く
- 並べ替えで消せる移動を先に消し、残った運搬だけを自動化するのが費用対効果の高い順番
- 移設は手順設計が9割。動かす順番と停止期間の計画を先に固める
数字で測ってみると、動線の課題は思っていた場所と違うところに見つかることも多いものです。
創業から52年、設備製作と現場改善に携わってきた立場から言えるのは、図面と現場を見れば打ち手は必ず整理できるということ。
レイアウト図や現場写真だけでも構いません。
石川工機へのご相談は、課題の整理からで大丈夫です。
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以下では、生産自動化を考えるうえで代表的な視点を整理しています。
👉人手不足に悩む経営者が、自動化で何が解決できるか判断したい
👉初めて自動化を検討する企業が、何から始めるべきか判断したい
👉設備選定に悩む担当者が、ロボットの種類を比較して判断したい
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