パレタイジングロボットの選び方|可搬重量と設置面積で決まる最適解
重量物の積み付けを任せたいが機種が多すぎて絞れない…パレタイジングロボットを選ぶときの基準
パレタイジングロボットの選定は、可搬重量と設置面積の2つを先に固めると一気に絞れます。
可搬重量はワークとハンドの合計で考え、設置面積はパレットの枚数と積み付け高さから決まります。
この2条件を数字にしないままカタログを眺めても、候補は増える一方です。
機種選びは「自社の条件を決める作業」が先で、「機種を探す作業」は後。
この順番を間違えないことが、選定の最短ルートです。
出荷場では今日も、20kg近い箱をパレットに積み上げる作業が続いている。
「あの作業を任せられたら、腰の心配も人繰りも楽になるのに」
「産業用と協働型、どっちを見ればいいんだ」
「展示会で見た機種は、うちの出荷場に入るのか」
この記事では、パレタイジングロボットを選ぶときの基準を、可搬重量・設置面積・周辺条件の順に整理します。
【この記事のポイント】
- 可搬重量は「ワーク+ハンド」の合計で見る。ワーク重量だけで機種を選ぶと能力不足になる
- 設置面積はロボット本体ではなく、パレット・供給コンベア・安全対策を含めたシステム全体で考える
- サイクルタイム・荷姿・段取り替えの3つの周辺条件まで確認して、初めて機種が決まる
この記事の結論
- 一言で言うと、機種選定は可搬重量と設置面積という2つの数字から逆算する
- 可搬重量はワークとハンドの合計に余裕を持たせる。ハンドは数kg単位で効いてくる
- スペースが限られる現場では協働ロボット型が選択肢になる。柵の要否はリスクアセスメントで決まる
- カタログスペックだけでは決まらない。荷姿・積み付けパターン・サイクルタイムの確認が必須
- 最後は現場確認を経た提案を複数比べる。レイアウト図の具体性が比較の決め手になる
選定の軸1. 可搬重量と設置面積
まず、候補を絞り込むための2つの数字から説明します。
可搬重量は「ワーク+ハンド」で計算する
カタログの可搬重量は、手首の先に載せられる総重量を指します。
ここで忘れてはいけないのがハンドの重さです。
箱を吸着するハンド、袋をつかむハンド、どちらも数kgから、構成によっては10kgを超えることがあります。
たとえば15kgの箱を扱う場合、ハンドが7kgなら合計22kg。
可搬20kgの機種では足りない、という計算になります。
さらに、吸着搬送では動作の加減速で荷が揺れるため、能力ぎりぎりの選定は落下や位置ずれの原因になります。
余裕を持った選定が基本です。
まずは「一番重いワーク」と「想定するハンド方式」を決め、合計値に余裕を見た数字を自社の基準にしてください。
設置面積はシステム全体で考える
2つ目の軸が設置面積です。
注意したいのは、ロボット本体の足元寸法だけを見ても意味がないという点です。
パレタイジングのシステムには、ワークを供給するコンベア、積み付けるパレット、空パレットの置き場、場合によっては満載パレットの搬出スペースが必要になります。
産業用ロボットなら安全柵の分も加わります。
パレット2枚に交互に積む構成と1枚だけの構成では、必要な面積が大きく変わります。
積み付け高さも重要です。
高く積むほどロボットのリーチが必要になり、機種のサイズが上がります。
出荷場の図面に、パレット・コンベア・ロボット・通路を描き込んでみてください。
入らなければ、その機種は候補から外れます。
この作業だけで、候補はかなり絞れます。
産業用と協働ロボット型の分かれ目
同じパレタイジングでも、産業用ロボットと協働ロボットでは性格が違います。
産業用は高速・高可搬で量産向きですが、原則として安全柵が必要で、設置面積が大きくなります。
協働ロボット型は、リスクアセスメントの結果によっては柵なしの運用が検討でき、省スペースで人の作業エリアの近くに置きやすいのが特徴です。
一方で速度と可搬重量には制約があります。
分かれ目は、処理能力とスペースのどちらが厳しいかです。
毎分何個も積む高速ラインなら産業用。
スペースが限られ、処理量が中程度なら協働型が候補に入ります。
協働ロボットの本体価格は300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が一般的な目安です。
選定の軸2. 周辺条件と比較の進め方
2つの数字で絞ったら、次は周辺条件との照合です。
ここを飛ばすと「置けたのに使えない」が起きます。
サイクルタイムと処理能力の見極め
確認したいのは、ラインから流れてくるペースにロボットが追いつくかです。
計算は単純で、1個あたりの積み付けに使える時間=稼働時間÷処理個数。
たとえば1時間に300個流れてくるなら、1個あたり12秒です。
この時間内に、つかむ・運ぶ・置く・戻るの動作が収まる必要があります。
積み付け位置が高い段と低い段では動作時間が変わるため、平均ではなく一番遠い位置で考えるのが安全です。
ピーク時の流量と平均流量が大きく違う現場では、どちらに合わせるかで設備の構成が変わります。
よくあるのが、平均値で能力を決めてしまい、ピーク時にラインが詰まるパターンです。
能力が足りない場合も、一時的にためておくバッファコンベアを挟むなどの構成で解決できることがあります。
ここは数字を測ってから相談する価値が大きい部分です。
荷姿・積み付けパターン・段取り替え
次が荷姿です。
段ボール箱、袋物、ケース、同じ「積む」でもハンドの方式がまったく違います。
箱なら吸着が定番ですが、天面の強度が弱い箱は吸着位置の工夫が必要です。
袋物は形が安定しないため、つかみ方の難易度が上がります。
積み付けパターンも確認項目です。
荷崩れを防ぐために段ごとに向きを変える積み方をするのか、品種によってパターンが変わるのか。
品種や箱サイズが多い現場では、パターンの登録・切り替えのしやすさが日々の使い勝手を左右します。
段取り替えの頻度が高いなら、切り替え操作を誰がやるのかまで含めて考えておくと、導入後のつまずきが減ります。
よくあるのが、導入時の品種だけで検討し、半年後に増えた新しい箱サイズに対応できず困るパターンです。
今の品種一覧だけでなく、今後増えそうな荷姿まで伝えておくと、拡張を見込んだ提案が受けられます。
比較検討の進め方と判断基準
条件が揃ったら、複数社に声をかけて提案を比べます。
判断基準は3つです。
1つ目は、現場を見たうえでの提案かどうか。
レイアウト図が自社の出荷場の寸法で描かれているかは、分かりやすい見分け方です。
2つ目は、ハンドと荷姿の検討が具体的か。
3つ目は、導入後の段取り替えや保守まで説明があるかです。
テックマンロボットを使ったパレタイジングシステムを3件手がけてきた石川工機でも、選定の出発点は機種ではなく、現場確認と工程分析に置いています。
重量・面積・流量という現場の数字が先にあり、機種はそれに合わせて決まるものだからです。
提案の前提となる数字を各社が確認しに来るかどうかも、比較の材料にしてください。
よくある質問
Q1. 可搬重量はどれくらい余裕を見ればいいですか?
A1. ワークとハンドの合計に対して余裕を持った機種を選ぶのが基本です。
加減速時の負荷や将来のワーク変更を考えると、ぎりぎりの選定は避けたいところです。
一番重い荷物を基準に計算してください。
Q2. 狭い出荷場でも設置できますか?
A2. スペース制約のある現場向けには、省スペースの協働ロボット型という選択肢があります。
パレット枚数や供給コンベアの配置の工夫で収まる場合もあります。
図面と現場確認での検討が確実です。
Q3. 協働ロボットなら安全柵は要りませんか?
A3. 無条件で不要にはなりません。
扱う重量・速度・周囲の人の動きを踏まえたリスクアセスメントの結果で、柵やセンサーの要否が決まります。
「協働=柵なし」と決めつけずに検討してください。
Q4. 費用はどれくらいかかりますか?
A4. 構成によって幅がありますが、協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が一般的な目安です。
ハンド・架台・コンベアとの接続・安全対策で変わります。
Q5. 人が積んだ方が速い気がします。導入する意味はありますか?
A5. 瞬間の速さでは人が勝つ場面もあります。
ロボットの価値は、同じペースを休みなく続けられることと、腰への負担をなくせることです。
厚生労働省の統計でも製造業の腰痛は労働災害の大きな要因とされており、負担軽減は投資効果の一部です。
Q6. 箱のサイズが品種ごとに違います。対応できますか?
A6. 積み付けパターンの登録やハンドの工夫で対応できる場合が多いです。
ただしサイズの幅が極端に広いと構成が複雑になります。
品種一覧とサイズ表を用意して相談すると、判断が早くなります。
Q7. 既存の出荷ラインに後付けできますか?
A7. 既存設備へのロボット後付けはよくある相談の1つです。
コンベアとの取り合い、設置面積、電源を現場で確認して判断します。
愛知県を中心に東海3県で現場対応している石川工機のようなSIerに、現場を見たうえでの見立てを聞くのが確実です。
Q8. 選定を始める前に何を準備すればいいですか?
A8. ワークの重量とサイズ、1時間あたりの処理個数、パレットの種類と積み付け高さ、出荷場の図面の4点です。
この数字が揃っていれば、機種の絞り込みは一気に進みます。
まとめ
今日のおさらい3つ
- 可搬重量は「ワーク+ハンド」の合計に余裕を見て決める。ハンドの重さを忘れない
- 設置面積はパレット・コンベア・安全対策込みのシステム全体で考える。図面への描き込みが近道
- サイクルタイム・荷姿・段取り替えまで確認し、現場を見た提案を複数比べて決める
機種が多すぎて絞れないのは、自社の条件がまだ数字になっていないサインです。
重量・面積・流量の3つを測るところから始めれば、候補は自然に絞られていきます。
数字が揃ったら、現場を見て成立条件を判断できる相手に提案を求めてください。
積み付け作業の写真と出荷場の図面を添えて、相談フォームから問い合わせるところから始めてみてください。
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