名古屋の中小企業の自動化事例3選|同じ規模の工場はこう変わっていた
うちみたいな小さな工場でも本当にできるのか…名古屋周辺の中小製造業が自動化に踏み切った事例と結果
名古屋周辺の中小製造業でも、自動化はすでに現実に進んでいます。
石川工機が関わった範囲だけでも、コンプレッサー用タンクの外周溶接、協働ロボットによるパレタイジング3件、φ600mm鉄製ファンの溶接など、数人〜数十人規模の工場での導入が積み上がっています。
この記事では、その中から3つの事例を、相談前の不安から導入後の変化まで具体的に紹介します。
組合の会合で、隣に座った同業の社長がぽつりと「うち、ロボット入れたんだわ」と言った。
帰り道、信号待ちでスマホを開き、検索してしまう。
「うちと同じ規模で、本当に回るのか」
「いくらかかったんだ」
「なんで、うちより先なんだ」
同じ規模の工場が何を悩み、どう決めたのか。
その順番が分かれば、自社の判断材料になります。
【この記事のポイント】
- 溶接の省人化・重量物の積み降ろし・品質のばらつき解消。3つの実例を検討プロセスごと公開
- 踏み切れた会社の共通点は「全部やろうとせず1工程から始めた」こと
- 地元SIerと大手SIerには向き不向きがある。選び分けの基準も正直に整理
この記事の結論
- 一言で言うと、数人〜数十人規模の工場でも、工程を絞れば自動化は成立する
- 最も重要なのは、機械の性能より「どの1工程から始めるか」の選定
- 費用は協働ロボット本体で300〜500万円程度、システム全体でその1.5〜3倍が目安
- 発注前に確認すべきは、実ワークでの検証・据付後のフォロー体制・費用の内訳
名古屋・東海3県の中小工場はこう変わった。自動化事例3選
事例1: ベテラン頼みだったタンク外周溶接の省人化(愛知県内・産業機器部品)
1つ目は、約1年前に導入したコンプレッサー用タンクの外周溶接システムです。
愛知県内で産業機器の部品を手がける、数十人規模の工場でした。
きっかけは、溶接を任せてきたベテランの定年が視野に入ったこと。
求人を出しても溶接経験者の応募はなく、若手に教えるにも本人の負担が大きい。
相談に来られた社長は、開口一番こう言われました。
「溶接は職人技だで、ロボットにできるとは正直思っとらんのです」
実は、この疑いは半分正しいのです。
手直しや姿勢が毎回変わる補修溶接は自動化に向きません。
一方、タンクの外周溶接のように、ワークを回転させながら一定条件で連続させる溶接は、むしろ機械のほうが安定する領域です。
現場確認でその線引きを図に描いて説明すると、社長の腕組みが少し緩みました。
それでも見積もり段階では、数百万円台の投資額を前に一度検討が止まっています。
最終的な決め手は、ベテランの方本人が「これなら任せられる」と口にしたこと。
導入後、そのベテランは段取りと検査、若手の指導に回っています。
夕方の溶接ブースに人が張り付いていない光景に、最初は違和感があったそうです。
今では、溶接待ちで滞っていた後工程の残業が減ったと伺っています。
事例2: 20kg級の箱の積み降ろしから解放されたパレタイジング(東海3県・樹脂部品)
2つ目は、協働ロボット(テックマンロボット)によるパレタイジングシステムです。
当社では3件の導入実績があり、その1つが岐阜県の樹脂部品メーカーでした。
梱包後の箱をパレットに積む作業を、交代とはいえ人が1日中担っていた現場です。
箱は重いもので20kg近く、積み上げの高さは肩を超える。
厚生労働省の統計でも、腰痛は製造業の労働災害の中で大きな割合を占めると報告されています。
最初の相談時、担当役員の不安はこうでした。
「協働ロボットって、あの細い腕でしょう。力仕事は無理じゃないの」
さらに検討中は「人をもう1人雇うほうが安いのでは」という迷いが社内で出たそうです。
転機は、実際の箱と積み付けパターンを使った検証でした。
持てる重さ、積める高さ、1時間あたりの処理数を数字で確認し、求人を出し続ける費用と採用できない現状を並べて比較した。
「機械は腰を痛めんし、辞めんわな」
決定の場で役員が漏らした一言が、社内の空気を変えたと聞いています。
稼働後、積み降ろし担当だった方の湿布の減りが遅くなった、という冗談のような報告をいただきました。
腰をかばう動きが消え、夕方に検査場を手伝う余裕が生まれています。
事例3: 作業者ごとのばらつきが消えたファン溶接(品質安定の事例)
3つ目は、約2年前に手がけたφ600mm鉄製冷却用ファンの溶接システムです。
羽根の溶接は、作業者の技量差がそのまま仕上がりの差になります。
熟練者が担当した日と、そうでない日で品質が揺れる。
検査でのはね出しと手直しが、目に見えないコストとして積もっていました。
溶接条件と動きを設備側に持たせることで、誰が段取りしても同じ品質で仕上がる状態にしています。
ケースによりますが、品質のばらつき解消は、省人化よりも先に効果を実感しやすいテーマです。
実は当社の原点もここにあります。
エンジン・ミッション用シール材の塗布装置は累計400件以上を製作し、30年以上取引が続く客先もあります。
「人によって差が出る作業を、設備で一定にする」
名古屋市天白区でこの仕事を続けてきた中で、変わらない需要です。
3つの事例に共通するのは、どの会社も最初は半信半疑だったことです。
自社の工程が同じように成立するかは、現場と図面を見れば率直に判断できます。
「うちの場合はどうか」を確かめる段階から、石川工機へお問い合わせいただけます。
事例から見えた、踏み切れた会社と足踏みする会社の分かれ目
共通点は「全部やろうとしなかった」こと
よくあるのが、「どうせやるなら工場全体を自動化したい」という発想です。
気持ちは分かりますが、これが一番の足踏みの原因になります。
投資額が膨らみ、社内の合意が取れず、結局何も始まらない。
事例の3社は、いずれも1工程だけを切り出して始めています。
溶接なら外周溶接だけ、搬送ならパレタイジングだけ。
1工程なら投資は数百万円〜の規模に収まり、効果の検証もしやすい。
中小企業白書でも、人手不足への対応として省力化投資を段階的に進める中小企業の動きが報告されています。
最初の1台がうまく回れば、2工程目の話は現場から自然に出てきます。
岐阜の樹脂部品メーカーでも、いま次の工程の検討が始まっています。
地元SIerが向く会社、大手やメーカー系が向く会社
正直なところ、すべての会社に当社のような地元SIerが最適とは限りません。
複数拠点に同じラインを一斉展開する計画や、生産ライン一式を新設する大型案件は、体制の厚い大手SIerやロボットメーカー系のインテグレーターが向きます。
特定メーカーの設備で工場を統一している場合も、メーカー系に相談するほうが話が早い。
一方、1工程ずつ確かめながら進めたい数人〜数十人規模の工場には、距離の近さが効きます。
当社は名古屋市天白区が拠点で、愛知県内や東海3県なら現場確認に出向くのも、据付後に「ちょっと見てほしい」と呼ばれて駆けつけるのも速い。
自動化設備は導入後にどれだけ安定稼働するかが勝負なので、フォローの距離は選定基準の1つに数えてよいはずです。
日本ロボット工業会の統計でも産業用ロボットの導入は広がり続けており、SIerの選択肢は増えています。
規模と進め方に合う相手を選ぶことが、結局は近道です。
踏み切った会社が最後に確認していたこと
3つの事例の会社が、発注直前に確認していたことには共通点があります。
これはどのSIerと話す場合にも使える、公平なチェック項目です。
第一に、実ワークでの検証があるか。
カタログ値ではなく、自社の製品で試した結果を根拠にしているか。
第二に、見積もりの内訳。
本体・ハンド・治具・安全対策・据付調整が分けて示されているか。
第三に、導入後の体制。
不具合時に誰が何日で来るのか、品種追加のティーチング費用はいくらか。
第四に、できないことの説明があったか。
「全部できます」としか言わない相手より、「この工程は不向きです」と言う相手のほうが、導入後の齟齬が少ない。
4つすべてに具体的な答えが返ってくるなら、その提案は前に進めてよい水準です。
よくある質問
Q1. 中小企業の自動化には、いくらぐらいかかりますか?
A1. 協働ロボット本体で300〜500万円程度、ハンドや架台を含むシステム全体でその1.5〜3倍が目安です。
特注の溶接システムなどは内容次第で変わるため、数百万円〜の幅で見て現場確認後の概算と比較してください。
Q2. 何人規模の工場から自動化できますか?
A2. 規模の下限はありません。
事例の3社も数人〜数十人規模です。
人数より「切り出せる1工程があるか」で判断するのが実態に合っています。
Q3. 溶接のような職人技もロボット化できますか?
A3. 工程によります。
外周溶接のように条件を一定にできる連続溶接は自動化向きで、毎回姿勢が変わる補修溶接は不向きです。
向き不向きの線引きを先に確認してください。
Q4. 相談から稼働までどれくらいかかりますか?
A4. ヒアリング、現場確認・工程分析、仕様提示・見積り、設計製作、調整、据付という流れを踏みます。
内容により数か月単位の幅があるため、繁忙期を避けた立ち上げ時期から逆算して相談するのが安全です。
Q5. パレタイジングはどれくらいの重さまで任せられますか?
A5. 協働ロボットは機種により可搬重量が異なり、ハンドの重さを差し引いた値が実際に持てる重さです。
箱の実重量と積み付け高さを伝えれば、成立するかを先に判断できます。
Q6. 1社の提案だけで決めてもいいですか?
A6. おすすめしません。
2〜3社に同じ工程を見せ、検証の有無と見積もり内訳を比較してください。
答えの具体性で相手の力量が分かります。
Q7. 既存の設備にロボットを後付けできますか?
A7. 可能なケースは多く、実際によくある相談です。
ただし設置スペースと安全対策の検討が必須なので、現場確認を前提に判断してください。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 名古屋・東海3県の数人〜数十人規模でも、溶接・パレタイジング・品質安定の自動化は現実に動いている
- 踏み切れた会社は工場全体ではなく1工程から始め、実ワーク検証と見積もり内訳で判断した
- 大型案件は大手SIer、1工程ずつ進めるなら現場とフォローの距離が近い地元SIerという選び分けが現実的
まずは、隣の社長の話を聞いて浮かんだ「うちならどの工程か」を1つ書き出してみてください。
その1工程が自動化として成立するかどうかは、現場を拝見すれば「不向きです」という答えも含めて率直にお伝えできます。
名古屋市天白区から東海3県へ伺いますので、工程の写真1枚からでも、石川工機に課題をお聞かせください。
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